〇「俳句」 KADOKAWA 2024年4月号
令和俳壇 森田純一郎 選(「かつらぎ」主宰)
推薦 ふかぶかと山に一礼年木樵 黒岩裕介(爽樹)
【選評】新年に焚く薪である年木は神々への供え物でもある。年の暮に山に入って木を伐り出す年木樵は、自然の恵みを与えてくれる山に深く一礼をした後に作業に取り掛かるのであろう。
〇「俳句」 KADOKAWA 2024年4月号
令和俳壇 森田純一郎 選(「かつらぎ」主宰)
推薦 ふかぶかと山に一礼年木樵 黒岩裕介(爽樹)
【選評】新年に焚く薪である年木は神々への供え物でもある。年の暮に山に入って木を伐り出す年木樵は、自然の恵みを与えてくれる山に深く一礼をした後に作業に取り掛かるのであろう。
○「俳句四季」 東京四季出版2024年3月号
3月の季語 「爽樹」河瀬俊彦
(春の季語8種に付き著者の作品とエッセー及び写真を2頁に掲載)
〈春の水〉
春の水掛くれば笑まふ不動尊
地底より生まれたてなる春の水
〈卒業〉
あしたには島を出る子ら卒業す
〈春耕〉
春耕の背を伸ばせば瀬戸の海
春耕の小石拾へばまた小石
〈春の鴨〉
ふるさとに帰る気もなし春の鴨
ときをりは友呼ぶやうに春の鴨
〈蜷の道〉
蜷の道江戸の古地図に迷ひ込む
地上絵の謎とけぬまま蜷の道
〈芽柳〉
芽柳の少年ほどの色であり
芽柳の揺れて海月の触手かな
〈土筆〉
立子忌の武蔵野に摘む土筆かな
土筆摘む顔をあぐればスカイツリー
〈虎杖〉
虎杖を折ればわらべの頃の音
○「俳壇」本阿弥書店2024年3月号
俳壇雑詠 年間賞
(令和5年1月から12月号掲載の選者特選作品を対象とし選者ごとに選ぶ年間優秀作品)
藤田直子選(人) 「秋麗」主宰
早稲香るドア全開の始発駅 半田卓郎「爽樹」
【選評】発車ベルが鳴るまで、始発駅では列車のドアを全開にしている。そのドアから早稲の香が入ってきたという。田園地帯を走る路線の始発駅なのだろう。「早稲」「全開」「始発駅」という言葉が明るい未来を感じさせる。
○「俳句」KADOKAWA 2024年2月号
令和俳壇 山田閏子選(「初桜」主宰・「ホトトギス」)
推薦 潮の香を連れて山路へ秋遍路 河瀬俊彦(爽樹)
【選評】今でこそ遍路は、車で回る事もあるようであるが、昔は険しい道をひたすら歩いたのである。遍路にまつわる秘話もあり、遍路に行く覚悟も強いものがあったに違いない。この句には海辺から山路へとひたすら歩む遍路の一途な姿が浮かんで来る。
令和6年1月29日(月)ウェスタ川越に於いて、ご来賓に「銀漢」主宰伊藤伊那男氏、「喜怒哀楽書房」木戸敦子氏をお迎えし、92名の爽樹会員参加とともに和やかで楽しい大会となりました。
内容は、第1回爽樹俳句大会の表彰、新春俳句大会(当日句)の表彰、昨年句集を出版された小林幸子氏の祝賀会と盛りだくさんの会となりました。
伊藤伊那男氏による講演「井上井月とその時代」と題した講演では、大変貴重なお話を伺うことができました。
第1回爽樹俳句大会の結果
爽樹俳句大会賞(爽樹俳句会14名の選者による総合結果)
大 賞
母さんの「さん」は太陽干蒲団 | 赤池英津子 |
優秀賞
我もまた影絵のひとつ秋の暮 | 山口 昌志 |
葱坊主わんぱくにして人見知り | 河瀬 俊彦 |
鬼の子の揺れて一番星さがす | 関口 幹雄 |
少年のボクサーステップ晩夏光 | 堀越 令子 |
佳作賞
子の便り繰り返し読む良夜かな | 八木原愛子 |
発句てふ一期一会を老の春 | 寺内 克行 |
畔塗るや村に田の神水の神 | 本庄 準也 |
十六夜の流人の島の能舞台 | 一瀬 正子 |
胸に嬰児のこぶしの開く初湯かな | 島田 良子 |
互選賞(選者を除く参加爽樹会員による互選)
一位
こころにも開かずの間あり漱石忌 | 黛 道子 |
二位
我もまた影絵のひとつ秋の暮 | 山口 昌志 |
子の便り繰り返し読む良夜かな | 八木原愛子 |
四位
手を離れ流灯ひとつ岸を向く | 鈴木 正浩 |
畦塗るや村に田の神水の神 | 本庄 準也 |
母さんの「さん」は太陽干蒲団 | 赤池英津子 |
新春俳句大会当日句の結果
「銀漢」主宰伊藤伊那男氏選
特 選
つつがなく全て揃ひし祝箸 | 多田 清貴 |
準特選
身は炬燵心はすでに吉野山 | 小山 徳夫 |
膝に抱く孫の重みもお正月 | 一瀬 正子 |
ささやかな喜び積まむ初暦 | 土門 秀子 |
「喜怒哀楽書房」木戸敦子氏選
特 選
老妻の「よし」と頷く初鏡 | 齊藤 博之 |
準特選
認め合ひ励まし合ひて初句会 | 角田とも子 |
蒼天に大の字となる梯子乗 | 小俣惠美子 |
初春の祈りを能登へ神の鈴 | 港 寿子 |
「爽樹俳句会」代表河瀬俊彦選
特 選
星たちの指揮者となりぬ雪だるま | 島田 良子 |
準特選
水の星戦抱きて年明くる | 石田 清秀 |
横顔はまだイケるかも初鏡 | 高畑 清美 |
酒気のなきホールに満つる淑気かな | 山口 昌志 |
初心者のための俳句講座を、川越にて開催します。お気軽にご参加ください。
初心者のための俳句講座を、所沢にて開催します。お気軽にご参加ください。
○「俳壇」 本阿弥書店 2024年1月号
特集 雲従える辰年の俳人たち
昭和15年生まれ
干支 川口 襄(爽樹)
七度目の干支を迎へて去年今年
海暮れて船屋を過ぎる初時雨
擽つたしや湯豆腐の鰹節
ファスナーの歯も搔い潜る北颪
七歳にをみなの色香七五三
○「俳句界」 文學の森 2024年1月号
雑詠 柴田多鶴子「鳰の子」主宰選
特選 もてなされ布袋の相の生身魂 河瀬俊彦(爽樹)
【選評】お盆に、子供や親族からもてなされた生身魂が,もともとの福相をもっと崩して大喜びをしている様子が良くわかる。布袋様のように身体もふくよかな方であろう。長い人生の困難などは見せず、円満そのものの顔つきの生身魂だからこそ周囲から慕われ、尊敬もされる。
○俳人協会俳句文学館 令和5年12月5日
第30回俳人協会俳句大賞
橋本榮治選
藤田直子選
入選 大噴水ぶつきら棒に止まりけり 小林眞彦(爽樹)
○「俳句」 KADOKAWA 2023年12月号
令和俳壇 井上康明(「郭公」主宰)
推薦 山姥にもてなされたる猿酒 河瀬俊彦(爽樹)
【選評】山中深く人を食うという山姥が思いがけず猿酒でもてなしてくれたのである。猿酒は木の洞や岩の窪みで発酵した酒。毒入りかもしれない。恐る恐る飲みながら、しかし徐々に酩酊状態になっていく。物語を誘う作品である。
○「俳句」KADOKAWA 2023年12月号
特別企画「全国結社マップ」南関東
(南関東を中心に活動する47結社をご紹介、作句上達の唯一の道とさえ言われる結社への入会の道しるべとして頂ければと思います。)
「爽樹」
拠点:埼玉県 最年長:96歳、最年少:49歳
・信条
理念は二本立て。指導理念は先師小澤克己(「遠嶺」主宰)の「情景主義」、運営理念は任期のある代表制による集団指導体制と民主的運営である。結社誌は会員全員で作ることを目指す。新しい形態を模索しつつ前進する。
・句会の月例数、場所
埼玉中心に40。さいたま市(大宮、浦和)、越谷市、川越市、所沢市、坂戸市、富士見市、池袋等 各月1回。
・どういう人に向いているか
独自の初心者テキスト類、教材を開発、初心者講座を積極的に開催しているので、初めての人も入りやすい。また集団指導のリーダーになる志のある方も歓迎。
・代表、同人の句
深きより海神のこゑ箱眼鏡 河瀬俊彦
なまはげの吠え星空を沸き立たす 川口 襄
春港のあくびのような汽笛かな 小山徳夫
・年会費
12000円(隔月刊)
雑詠 辻桃子(「童子」主宰)
特選 蟻地獄ひとすぢ砂の乱れあり 鈴木正浩(爽樹)
【選評】縁の下の乾いた砂土に擂り鉢形の穴をよく見る。その穴の底に薄羽蜉蝣の幼虫が獲物を待っている。蟻か蜘蛛か、この蟻地獄にすべり落ちていったのだ。ひとすぢの砂の乱は落ちまいとする抵抗の跡。誰も知らないドラマを詠んだ。
『銀嶺のあゆみ
―銀嶺句会150回記念・小山徳夫米寿記念―』
小山徳夫 銀嶺のあゆみ編集委員会
喜怒哀楽書房
詳細は、「会員句集・刊行物」のページをご覧ください。
〇俳句総合誌「俳壇」本阿弥書店 2023年12月号
現代俳句の窓
秋のこる 野木 和美(爽樹)
波頭尖る航路や秋燕
閑日やつひに鬼灯鳴らぬまま
待宵や両手につつむ志野茶碗
猫じやらし風に凭るる軽さかな
とれかけの釦のやうな秋の蝶
鐘の音にまだ秋のこる建長寺