〇俳句総合誌「俳壇」本阿弥書店2024年9月
●地域発 埼玉県
結社の声-わが主張「爽樹」勝浦敏幸
〇俳句総合誌「俳壇」本阿弥書店2024年9月
●地域発 埼玉県
結社の声-わが主張「爽樹」勝浦敏幸
〇「俳句四季」 東京四季出版 2024年8月号
「四季吟詠」自由 浅井慎平 選
特選 春なれや坊ちゃん電車とことこと 荒川清司(爽樹)
【選評】このところ、こころのどこかが暗く、何か重い感覚に包まれていた。そんなところに、坊ちゃん電車が「とことこと」リズムに乗ってやって来た。いや、この句の作者の話ではない。それを読んだぼくのこころの線路に、だ。これを読んだぼくのこころは「とことこ」と踊った。何だか嬉しくなった。春はこうでなくてはいけない。作者の清司さん、ありがとう。とても気分のいいリズムを持った句でした。勿論、そのメロデイも軽やかで、温かく、オリジナリティに充ちていました。
〇「俳句四季」東京四季出版(2024年8月号)
わが道を行く
新作15句 「竹落葉」 勝浦敏幸(爽樹代表)
振り回すタオルに湯の香新樹の夜
ダービーや鞭を片手に投キッス
散乱の小鳥の羽根や走り梅雨
点滅の信号の先雪解富士
雲間より光差し込む植田かな
飛び石を気まぐれな風竹落葉
本流に向かうてをりぬ竹落葉
朽ち果つる大倒木や苔の花
煙吐き鉄橋わたる青葉山
暫くは開け放ちおけ網戸の夜
鳰の子の親の背より落ちもせで
ががんぼが脚が長きと歎きをり
雨あとの洗はれし空百合香る
加減して揺らす幼のハンモック
花火師の冷めぬ興奮酒あふる
7月17日(水)ウェスタ川越において、新入会員を対象にオリエンテーションが開催されました。
爽樹俳句会全体の活動を知ってもらうこと、「爽樹の理念」を理解してもらうこと、参加者相互の交流を図ることを目的に始められたこの会は、今回で4回目となります。
当日は猛暑にも関わらず、9名が参加されました。
勝浦敏幸代表、伊藤弘幸幹事長より爽樹俳句会の成り立ちや全体像の説明がなされたあと、参加者からも活発な意見・感想が述べられました。
【参加者からの意見・感想(抜粋)】
・爽樹俳句会を理解する機会を得られ感謝している。とてもきちんとした会である事が理解できた。
・これまで「速さ」を求められる仕事をしてきた。俳句を通して言葉の奥深さを知りたい。参加している句会では、指導してもらえるのでありがたい。
・句会で、臆することなく聞きたいことを聞ける雰囲気が良い。 ・俳句を始めたことで、心が豊かになったと感じている。
令和6年5月31日、第6回爽樹吟行俳句大会が、所沢航空記念公園を吟行地として開催されました。
所沢航空記念公園は、1911年(明治44年)日本陸軍のはじめての飛行場としてつくられた日本の航空発祥の地です。園内には、飛行機の仕組みが学べて映画上映も行われている所沢航空発祥記念館をはじめ、芝生広場、ドックラン、子供の各種遊園施設、野外ステージ、句会も開催できる茶室「彩翔亭」など各種施設があります。
また緑豊かな園内では,蠟梅、桜、藤、ゆりの木の花、紫陽花など四季折々の花が楽しめます。
大会当日、心配された台風1号の影響もあまりなく、句会場の所沢市民文化センターミューズには会員69名が参加して、大会は盛大に開催されました。
勝浦敏幸代表 特選句
天 | 低空の飛行機うめの実の産毛 | 松本 光子 |
地 | 袖口に雨の嵩あり七変化 | 髙畑 信子 |
人 | 雨浴びて紫陽花へんげ始めけり | 鈴木 孝雄 |
河瀬俊彦名誉顧問 特選句
天 | 駆くる子の離陸の形風薫る | 中島ますみ |
地 | 野に子等を放てばつばさ風青し | 松本きみ枝 |
人 | 新緑や時空旅する万葉園 | 高瀬 文雄 |
一瀬正子編集長 特選句
天 | エアクルー気取りの試乗夏帽子 | 加藤つね子 |
地 | 涼しさや葉守の神のゐる歩道 | 山口 昌志 |
人 | 薔薇大輪ここはかつての滑走路 | 坂本ひさ子 |
半田卓郎顧問 特選句
天 | えご散るや殉職悼む塔に風 | 宮城 和代 |
地 | 夏の雨もう離陸せぬ国産機 | 勝美 研次 |
人 | 野に子等を放てばつばさ風青し | 松本きみ枝 |
5月27日(月)、第15回(令和6年度)爽樹俳句会代議員会が行われ、今年も、39句会の幹事、役員、理事、顧問、選者、総勢47名が集いました。
爽樹俳句会は、合議制の運営をしており、年に一度の代議員会において、すべての事業・会計の報告・計画の決定が行われています。
初めに勝浦敏幸新代表より、就任の挨拶があり、楽しく和やかな爽樹俳句会を続けていきたいとの決意が述べられました。
会議の後は、参加者それぞれの自己紹介、句会の紹介がなされ、和やかな意見交換の場となりました。
令和6年5月3日(祝)、さいたま文学館において第36回令和6年俳人協会埼玉県支部総会・俳句大会が行われました。俳句大会では、爽樹俳句会会員が多数入賞しました。
総合順位 | ||
7位 11点 | ここからは違ふ河の名秋燕 | 早山 きえ子 |
8位 10点 | 空と海一枚にして鶴帰る | 川口 襄 |
9位 10点 | 可惜夜の衣桁の帯の仄ぬくし | 村田 菊子 |
10位 9点 | 棚田より音たてはしる春の水 | 坂本 ひさ子 |
13位 8点 | 校庭に千の足跡雪まろげ | 黒岩 裕介 |
18位 7点 | 蜃気楼詩は虚実の交差点 | 河瀬 俊彦 |
20位 7点 | 食卓は家族の港花菜漬 | 永田 歌子 |
特選句 | ||
相川シマ 選 | 校庭に千の足跡雪まろげ | 黒岩 裕介 |
石田郷子 選 | 川音はよろこびの音犬ふぐり | 河瀬 俊彦 |
川口 襄 選 | 蜃気楼詩は虚実の交差点 | 河瀬 俊彦 |
坂西涼太 選 | ここからは違ふ河の名秋燕 | 早山 きえ子 |
島貫 恵 選 | 可惜夜の衣桁の帯の仄ぬくし | 村田 菊子 |
辻村麻乃 選 | 空と海一枚にして鶴帰る | 川口 襄 |
龍野 龍 選 | 喚声を置き去りにして橇遊び | 野木 和美 |
小山徳夫 選 | 蜃気楼詩は虚実の交差点 | 河瀬 俊彦 |
当日句特選句 | ||
落合 水尾 選 | 代田いま水の地球といふかたち | 黒岩 裕介 |
栗原 憲司 選 | 代田いま水の地球といふかたち | 黒岩 裕介 |
横澤 放川 選 | 麦秋の風となるまで歩きけり | 黒岩 裕介 |
滝澤 一美 選 | 鳥帰る誤差なき磁石持つやうに | 河瀬 俊彦 |
〇「俳句」 KADOKAWA 2024年4月号
令和俳壇 森田純一郎 選(「かつらぎ」主宰)
推薦 ふかぶかと山に一礼年木樵 黒岩裕介(爽樹)
【選評】新年に焚く薪である年木は神々への供え物でもある。年の暮に山に入って木を伐り出す年木樵は、自然の恵みを与えてくれる山に深く一礼をした後に作業に取り掛かるのであろう。
○「俳句四季」 東京四季出版2024年3月号
3月の季語 「爽樹」河瀬俊彦
(春の季語8種に付き著者の作品とエッセー及び写真を2頁に掲載)
〈春の水〉
春の水掛くれば笑まふ不動尊
地底より生まれたてなる春の水
〈卒業〉
あしたには島を出る子ら卒業す
〈春耕〉
春耕の背を伸ばせば瀬戸の海
春耕の小石拾へばまた小石
〈春の鴨〉
ふるさとに帰る気もなし春の鴨
ときをりは友呼ぶやうに春の鴨
〈蜷の道〉
蜷の道江戸の古地図に迷ひ込む
地上絵の謎とけぬまま蜷の道
〈芽柳〉
芽柳の少年ほどの色であり
芽柳の揺れて海月の触手かな
〈土筆〉
立子忌の武蔵野に摘む土筆かな
土筆摘む顔をあぐればスカイツリー
〈虎杖〉
虎杖を折ればわらべの頃の音
○「俳壇」本阿弥書店2024年3月号
俳壇雑詠 年間賞
(令和5年1月から12月号掲載の選者特選作品を対象とし選者ごとに選ぶ年間優秀作品)
藤田直子選(人) 「秋麗」主宰
早稲香るドア全開の始発駅 半田卓郎「爽樹」
【選評】発車ベルが鳴るまで、始発駅では列車のドアを全開にしている。そのドアから早稲の香が入ってきたという。田園地帯を走る路線の始発駅なのだろう。「早稲」「全開」「始発駅」という言葉が明るい未来を感じさせる。
○「俳句」KADOKAWA 2024年2月号
令和俳壇 山田閏子選(「初桜」主宰・「ホトトギス」)
推薦 潮の香を連れて山路へ秋遍路 河瀬俊彦(爽樹)
【選評】今でこそ遍路は、車で回る事もあるようであるが、昔は険しい道をひたすら歩いたのである。遍路にまつわる秘話もあり、遍路に行く覚悟も強いものがあったに違いない。この句には海辺から山路へとひたすら歩む遍路の一途な姿が浮かんで来る。