月: 2022年10月
俳句総合誌掲載
〇「俳句界」2022年9月号(文學の森)
作品6句 「星空へ」 勝浦敏幸(爽樹幹事長)
お喋りのやがて黙り墓洗ふ
都電きしめき新涼の星ひとつ
秋入日目深にかぶる野球帽
秋燕のひらり返れば四分休符
いななきの嘶きをよぶ宵の月
星空へつづくこの道芒原
〇「俳句界」2022年9月号(文學の森)
雑詠 能村研三(「沖」主宰)選
特選 関口幹雄(爽樹会員)
夏立つや挑戦といふ真帆上ぐる
(選評)六十年前、一人で太平洋をヨットで横断した堀江謙一さんが八十三歳になって、今度は世界最高齢で単独無寄港の太平洋横断に挑戦し無事成功した。この挑戦は多くの人に勇気と感動を与えた。掲句の「挑戦といふ真帆」を上げたのはまさしく堀江さんの航海のことを詠んだものだろう。
〇「俳句界」2022年10月号(文學の森)
雑詠 大串 章(「百鳥」主宰)選
特選 鈴木正浩(爽樹会員)
滝となる前の流れの音もなく
(選評)滝になる前の静かな流れを画いて臨場感があり惹かれる。静かに流れる川が崖や急斜面に来ると、いきなり音を立てて飛沫を飛ばして滝となる。川から滝に変化する水の流れは魅力的で滝マニアも多い。『滝王国ニッポン』『この滝がすごい!』など滝に関わる本も多数出版されている。