第12回爽樹俳句会代議員会

 代議員会は各句会の幹事や役員など46名が参加して行われました。開会に先立って3名の会員物故者に黙禱をささげました。 はじめに河瀬代表による開会挨拶があり、コロナ禍の中句会の運営に当たる句会幹事を労りました。

挨拶する河瀬代表

つづいて〈議事の部〉に入り、第1号議案令和2年度事業報告(案)として勝浦句会統括より38句会の会員状況や会計状況についての報告がありました。

令和2年度は、コロナ禍の影響で中止もしくは通信句会への切替えを余儀なくされた運営の難しい年度であり、かつ会員数(186名)、句会参加者数(延べ572名)がともに減少した年度でした。

十周年実行委員会各委員より十周年事業(「季語別選集」の発行(小林)、「爽樹の理念」のリーフレット発行(河瀬)、「爽樹」創刊十周年記念俳句コンクール(一瀬)、「爽樹」創刊十周年記念特集号の発行(一瀬)及び「爽樹」創刊十周年記念俳句大会(赤池)の報告がありました。

「季語別選集」はA6判306ページの小冊子で、先師小澤克己の句631句及び会員のうち168名からの5,133句が掲載されています。

「俳句コンクール」は会員年数の短い会員に作品10句の部を設けたところ29名の応募があり、作品20句の部には33人の応募がありました。

「俳句大会」には137名、274句の応募がありました。

また、「爽樹」創刊十周年記念事業基金として会員等176名から145万3千円の寄付が集まったとの報告(港)がありました。

港会計担当より第2号議案令和2年度決算報告(案)、第3号議案十周年事業収支決算報告(案)について説明があり、黒岩会計監査人よりそれぞれの会計監査報告がありました。

以上を諮り、全会一致で可決されました。

第4号議案令和3年度事業計画(案)として、河瀬代表より活動方針が、斉藤企画運営担当より事業計画が説明されました。計画では、令和2年度にできなかった吟行俳句大会(9月・川越)、新年会並びに新年俳句大会・句集出版記念祝賀会(1月・川越)、令和2年度の十周年記念俳句大会に続きテーマ別俳句大会「遊びを詠む」を行うとの説明がありました。なお、バスを使用する研修旅行と竹寺俳句大会は提案されませんでした。

つづいて、第5号議案令和3年度収支予算(案)について港会計担当より説明がありました。

以上を諮り、全会一致で可決されました。

第6号議案規約改正(案)について勝浦幹事長より拡大役員会(役員・理事・顧問)に更に選者を加えるとの説明があり、諮ったところ全会一致で可決されました。

つづけて〈報告の部〉に入り、河瀬代表より報告1役員会運営状況、報告2研修部関連状況、報告3結社・出版社交流状況、報告4外部俳句大会への投句の勧めの報告がありました。

さらに、勝浦ホームページ委員長より報告5ホームページのリニュ―アルについて報告がありました。

30分の休憩をはさんで出席者全員による〈意見交換の部・司会港、赤池〉に移りました。

80分に及ぶ話し合いが行われましたが、その中で、句会では俳句の批評だけでなく基本的な知識の誤りについても遠慮なく指摘をお願いしたいという意見や他の句会に出られるよう文書で勧めてほしいとの要望などが出されました。

文書による通知は出さないものの相互の句会参加はこれまでも認められているとの回答がありました。

最後に松本副編集長による閉会の辞により代議員会は終了しました。

意見交換会の発言の様子

                              以上

写真提供;齊藤博之  文責:勝浦敏幸

「爽樹」創刊十周年記念俳句大会

「爽樹」創刊十周年記念事業の中、「小澤克己句碑建立俳句大会」と「記念祝賀会」はコロナ禍の為、相次いで中止となった。

「爽樹季語別選集」、「爽樹の理念」のリーフレット、「爽樹」創刊十周年記念特集号は予定どおり進み既に発行されている。

さらに「爽樹」創刊十周年記念俳句コンクールは、「爽樹」創刊十周年記念特集号に結果が詳細に掲載されている。

「爽樹」創刊十周年記念俳句大会は、爽樹誌3月号に結果が掲載された。今回はその結果を抜粋で紹介する。

岩淵 喜代子選「ににん」代表

特選  名月に濡れざるものを影といふ    黒岩裕介 

(選評)月光に照らし出されたものと、そうでないものを区別することで、風景を模様化させている。ともすれば曖昧で情緒的になりがちな影や月光を具象化させたのである。そのために、シュールな風景に見えたり、童画の様に思えたり、どこか懐かしさを感じさせたりする。

準特選 静けさの野点を包む月明り      中臣由紀

準特選 星月夜爽樹の下の詩人たち      斉藤道正

佐怒賀 直美選「橘」主宰

特選  そこひなき闇のにほひや地虫鳴く    松浦雅美

(選評)実景でありながらも幻想的な世界を、端的に上手く詠み切った。誰もが聞き、感じたであろう、現世と冥界とを繋ぐような「地虫の声」が、「闇のにほひ」に焦点を当てたことにより、臨場感をもって一気に迫って来る。また、「そこひなき」が垂直軸の無限の深さを強調し、今にも足下の「闇」に果てしなく落花していきそうである。

準特選 渓流を滾らせてゐる曼珠沙華     山口昌志

準特選 みなしごの馬の瞳や赤のまま      野木和美

山田 貴世選「波」主宰

特選  より高く風を捉へて鷹舞へり     坂本ひさ子

(選評)古来から鷹狩りに用いられたり「一富士二鷹三茄子」と、初夢では𠮷舞の代表ともなっている鷹。また「鷹は餓ゑても穂をつまず、渇しても盗泉の水は食はず」とも言い猛禽であるが、その姿には威厳もある。掲出句、高く舞い上がり獲物をねらう鷹の姿を的確に捉え格調高く詠われた。

準特選 学舎は心の母港樟若葉        永田歌子

準特選 爽やかに樹は育ちつつ一昔      小林公一

吉田 千嘉子選「たかんな」主宰

特選   ふる里の冬日ゆたかに沈みけり   関田愛子       

(選評) 冬の(よろ)日が大地を華やかに染めながら沈んでゆく。圧倒的な夏の落日とは違う別の美しさがあり、ふる里を持つ誰もが知っている光景である。どんな時も太陽は朝に昇り夕に沈み、私たちに力を与え続けてきたことを改めて思い起させる。平明な読みが心地よく、「ゆたか」と「沈む」、一見対照的な措辞に深さを持たせて見事。            

準特選 一徹の父大輪の菊咲かす      須藤綾子

準特選 十年経て緑蔭をなす爽樹かな    河瀬俊彦

河瀬 俊彦選「爽樹」代表

特選  卓上に木の実ひとつと星図鑑    橋本良子

(選評)木の実と星図鑑、読み手に差し出されたのはふたつの物だけ。後は読み手に任せるという潔さがこの句の魅力。昼は野山で遊び、夜は星空を眺め、秋を満喫しているのだろうか、それともそれがかなわぬようになり、過ぎ去った日々を回想しているのだろうか。名詞と助詞だけで良い句が詠めることを示す句である。

準特選 夜学子の授業の前の握り飯    鈴木正浩

準特選 慶びの爽樹の空を蒼鷹      松本きみ枝

川口 襄選「爽樹」名誉顧問

特選  星空へ吸ひこまれゆく初蛍     早山きえ子 

(選評)暑い日暮れ後、かりがね句会の仲間と新潟の田舎で「蛍狩り」に参加。森の小暗い道を進むと、突然青白い炎の乱舞に目を疑う。丁度蛍の端堺期で大小の源氏蛍と平家蛍が入り乱れ飛ぶまさに幻想的な光のページェントだ。蛍の生態を見事に捉え、蛍への愛情を込めて星空と取り合わせたスケールの大きいメルヘンチックな佳句となった。

準特選 貴婦人と妖婦のはざま鳥兜     佐藤良夫

準特選 一つづつ漁火の消え冬銀河     片山茂子 

互選入賞句より

一位   返事せぬことも返事やちやんちやんこ   黛  道子

二位  小鳥来る城下に百の投句箱      一瀬正子

同   小春日や遺品の中に「母子手帳」  松本光子

四位  天を突く宣誓の腕風光る       町田美枝子

五位  夜学子の授業の前の握り飯     鈴木正浩

同   一つづつ漁火の消え冬銀河     片山茂子

                                                                      〈文責:勝浦〉

吟行句会(新樹句会)<さくらと菜の花>

令和3年3月31日

快晴の麗らかな一日、西武新宿線航空公園駅から徒歩で、所沢航空記念公園及び東川沿いの桜並木で折から満開の桜を堪能し、次に、ところざわサクラタウン(角川武蔵野ミュージアム)を見学、JR武蔵野線東所沢駅に至るコースです。

航空公園菜の花
航空公園白花たんぽぽ
東川の花筏
東川の花筏

散り始め早や渋滞の花筏    小山徳夫(顧問)

<定期的に吟行を行う句会は、銀嶺、新樹、所沢鍛練、の3句会です。ご関心のあるお方は「見学・入会案内」の、問い合わせ欄から、お問い合わせください>