俳句総合誌掲載

○「俳句」KADOKAWA 2024年2月号

令和俳壇 山田閏子選(「初桜」主宰・「ホトトギス」)

推薦 潮の香を連れて山路へ秋遍路   河瀬俊彦(爽樹)

【選評】今でこそ遍路は、車で回る事もあるようであるが、昔は険しい道をひたすら歩いたのである。遍路にまつわる秘話もあり、遍路に行く覚悟も強いものがあったに違いない。この句には海辺から山路へとひたすら歩む遍路の一途な姿が浮かんで来る。

令和6年新春俳句大会・講演会・句集出版祝賀会の開催

令和6年1月29日(月)ウェスタ川越に於いて、ご来賓に「銀漢」主宰伊藤伊那男氏、「喜怒哀楽書房」木戸敦子氏をお迎えし、92名の爽樹会員参加とともに和やかで楽しい大会となりました。

内容は、第1回爽樹俳句大会の表彰、新春俳句大会(当日句)の表彰、昨年句集を出版された小林幸子氏の祝賀会と盛りだくさんの会となりました。

伊藤伊那男氏による講演「井上井月とその時代」と題した講演では、大変貴重なお話を伺うことができました。

「爽樹俳句会」河瀬代表開会の挨拶
「銀漢」主宰 伊藤伊那男氏 講演 題「井上井月とその時代」

第1回爽樹俳句大会の結果

爽樹俳句大会賞(爽樹俳句会14名の選者による総合結果)

大 賞  

母さんの「さん」は太陽干蒲団 赤池英津子

優秀賞  

我もまた影絵のひとつ秋の暮 山口 昌志
葱坊主わんぱくにして人見知り 河瀬 俊彦
鬼の子の揺れて一番星さがす 関口 幹雄
少年のボクサーステップ晩夏光 堀越 令子

佳作賞  

子の便り繰り返し読む良夜かな 八木原愛子
発句てふ一期一会を老の春 寺内 克行
畔塗るや村に田の神水の神 本庄 準也
十六夜の流人の島の能舞台 一瀬 正子
胸に嬰児のこぶしの開く初湯かな 島田 良子

互選賞(選者を除く参加爽樹会員による互選)

一位

こころにも開かずの間あり漱石忌 黛  道子

二位

我もまた影絵のひとつ秋の暮 山口 昌志
子の便り繰り返し読む良夜かな 八木原愛子

四位

手を離れ流灯ひとつ岸を向く 鈴木 正浩
畦塗るや村に田の神水の神 本庄 準也
母さんの「さん」は太陽干蒲団 赤池英津子

                           

新春俳句大会当日句の結果

「銀漢」主宰伊藤伊那男氏選

特 選

つつがなく全て揃ひし祝箸 多田 清貴

準特選

身は炬燵心はすでに吉野山 小山 徳夫
膝に抱く孫の重みもお正月 一瀬 正子
ささやかな喜び積まむ初暦 土門 秀子

「喜怒哀楽書房」木戸敦子氏選

特 選

老妻の「よし」と頷く初鏡 齊藤 博之

準特選

認め合ひ励まし合ひて初句会 角田とも子
蒼天に大の字となる梯子乗 小俣惠美子
初春の祈りを能登へ神の鈴 港  寿子

「爽樹俳句会」代表河瀬俊彦選

特 選

星たちの指揮者となりぬ雪だるま 島田 良子

準特選

水の星戦抱きて年明くる 石田 清秀
横顔はまだイケるかも初鏡 高畑 清美
酒気のなきホールに満つる淑気かな 山口 昌志