狭山丘陵芝桜吟行

所沢市の狭山丘陵には、狭山湖、多摩湖、更に「緑のトラスト保全活動」による多くのトトロの森があります。自然とのふれあいと開放感を味わうことが出来ます。



農耕地の間で、芝桜を育てている方がおられます。その規模の大きさに驚かされました。

   白よりも紅好まるる芝桜   卓郎

   山からの風を絞りて芝桜   良子



西武池袋線小手指駅南口下車、西武バス早稲田大学行き、又は宮寺西行きで「芸術総合高校」下車で同校グランド奥の丘陵地です。

   里山の起伏おほひし芝桜   紀子

   山裾に空引き寄せて芝桜   卓郎


よく手入れされた森には、新しい芽吹きがあり、蝶が舞い、鶯の鳴き声に癒されます。 

  重なれる古葉押しのけ芽吹きけり  卓郎

  木漏れ日のぽつんと届く雑木の芽  紀子

  木の芽張る林に一日籠もりたし   良子

 (2022年4月7日、所沢地区有志吟行会)

俳句総合誌

 ○ 「俳壇」2022年3月号(本阿弥書店)

  俳壇プレミアシート(動物) 河瀬俊彦(爽樹代表)

「春を釣る」

   飯蛸を釣るは源平古戦場

   釣り上げて餌より小さき眼張かな

   さざ波と見しは細魚の群れの水脈

   さざ波の中よりさより引つこ抜く

   触れてみる磯巾着の妖しさに

◆ 作句信条
大迎なモットーは持ち合わせていないが、自分の体験をもとに平明な言葉で詠むことを心がけている。平凡な言葉であっても、それらの組み合わせによって詩が生まれ、読む人に自分の実感が伝われば、こんな嬉しいことはない。

◆ 我が師の一句

   紙飛行機君へと届くまでが春  小澤克己

◆ 自身の一句

   海峡の渦の底より桜鯛



○ 「俳句界」2022年3月(文學の森)

   雑詠  選者中村正幸(「深海」主宰)

特選
裸木になつて初めて見ゆるもの  関口幹雄(爽樹会員)

選評
人間もそうであるが、様々な檻の中にあるとき、自由で冷静な判断は出来ない。見ゆる景色もそこでは限られてしまう。その柵を取り払ってはじめて、今まで見たことのない新しい景色が見えてくるのである。裸木となって樹々はいま真の空の美しさ、空間の素晴しさを感じたのである。



○ 「俳壇」2022年4月号 (本阿弥書店)

  俳壇雑詠  加藤耕子選(「耕・Ku」主宰)

特選
端正に生きしけん二師冬ぬくし  半田卓郎(爽樹顧問)

選評
端正とは、行儀や姿が整っていて乱れたところがなく立派であること、と辞書は定義をしているが、けん二師には、何よりも心の姿を加えたい。おだやかな物腰の低い方であられた。「冬ぬくし」の季語そのままの方であった。