俳句総合誌掲載

〇「俳句」KADOKAWA 2024年11月号

作品12句

 「長瀞・秋の七草寺」    河瀬俊彦(爽樹)

秋草の七寺めぐれば花浄土

なでしこの寺の空ゆくロープウェー

をみなへし美男揃ひの六地蔵

千の墓つつむ万余の萩万朶

すぐそこと葛の寺まで三千歩

ラフティングの子らの歓声沢胡桃

茎太し兜太の郷の曼殊沙華

色変へぬ相生の松幾星霜

浄土へと銀河を渡る舟の欲し

いわし雲ポプラのやうな人であれ

雨戸繰る音がどこかで綾子の忌

初さんま放たば泳ぎ出しさうな


〇「俳句」KADOKAWA 2024年11月号

令和俳壇11月推薦

選者 井上康明「郭公」代表

風死せり忘れたきこと思ひ出す  小林恵子(爽樹)

【推薦選評】夏の昼、風が止んで死んだような静かな時間が過ぎる。そんな時、記憶から葬り去ってしまいたい思い出がふと蘇る。苦々しい思いを噛みしめながら、じっとり汗ばむ思いでいる。

俳句総合誌掲載

〇「俳句」KADOKAWA 2024年10月号

令和俳壇10月推薦

選者 櫂未知子「群青」代表

鈴一つ拾ひねぶたの街にをり  黒岩裕介(爽樹)

【選評】昨夜の跳人はねとが身に付けていたであろう<鈴>を、作者はひとつ見つけました。佞武多は数日間にわたり繰り広げられる行事ですから、今夜もまた、跳人たちは大いに飛び跳ねることでしょう。感傷とは違う旅情に満ちた作品です。

俳人協会第63回全国俳句大会・花と緑の春日部吟行俳句大会結果

俳人協会 第63回全国俳句大会

染谷秀雄 特選
藤本美和子 入選
青竹の柄杓の匂ふ御開帳


坂本ひさ子
今井 聖 特選
長き夜や書肆の主の二十選

田部 恭子
今井 聖 入選
雪降れりプランクトンの泳ぐごと

野木 和美
能村研三 入選
朧月時には死さへ甘やかに

村田 菊子
藤田直子 入選
甘夏をでんと母の忌修しけり

黒岩 裕介

花と緑の春日部吟行俳句大会 事前応募句の部

洲浜ゆき 特選
八月や陽よりも水のにほふ街

黒岩  裕介
田口紅子 特選
見るだけの海となりけりサングラス

小林  眞彦