俳句総合誌掲載

〇「WEP俳句通信」vol.132

珠玉の七句   河瀬俊彦(爽樹代表)

  冬の水

湧水のやがてせせらぎ冬すみれ

せせらぎの返す木漏れ日青木の実

水底に落葉綾なすアラベスク

水琴窟の音となりたる冬の水

みづうみは鳥の楽園山眠る

沼の皺と見えたるものは初氷

雪掻に工場の朝の始まりぬ

狭山湖

〇「俳壇」2023年3月号(本阿弥書店)

現代俳句の窓   谷川信子(爽樹会員)

  薄化粧

空耳に起こさるる朝花ぐもり

うららけし予定なき日の薄化粧

花菜風明日の出会ひを夢占

ぬかるみのごとき当節陽炎燃ゆ

春愁や小さきポッケに青い鳥

一日の起承転結目刺焼く