俳句総合誌掲載

〇「俳句」KADOKAWA  2023年5月

令和俳壇 推薦 森田純一郎選(「かつらぎ」主宰)

   祈る者祈らるる者阪神忌   黒岩裕介(爽樹)

【選評】

平成七年一月十七日早朝に兵庫県南部地方で発生したM七・三の大震災は、六千四百人を超える死者・行方不明者を出し、宝塚市の私の家にも避難命令が出された。震災後二十八年が経過した今もその日には鎮魂の祈りを上げ続ける。


〇「俳壇」本阿弥書店 2023年5月

俳壇ワイド作品集  今月の有力同人

   ふきのたう    黒岩裕介(爽樹)

  灯台の細身うつくし春岬

  舟運の今は昔や冴返る

  日溜りを少し広げてふきのたう

  うすらひに翳る命のほの明り

  耕しを尽くして天の広さかな

  牡丹の芽いつか喧嘩をしかけさう

  人の世は赦しゆるされ桃の花


〇「俳句界」文學の森 2023年4月

全国の秀句コレクション

  厨の灯消してちちろに闇返す   山崎京子(爽樹)

俳句総合誌掲載

〇「俳句四季」東京四季出版 2023年4月

「特集 575は突然に 俳人誕生STORY」

どんなきっかけ、どんなタイミングで俳句を始めたか

 かなかなや主なき庭の給餌台   「爽樹」代表 河瀬俊彦

[要旨]

俳句を始めて三か月目の作品、何とか俳句が続けられそうだと思えた句である。

 受講した初心者講座で印象に残ったのは俳句の四つの基本型(藤田湘子考案)である。この基本型は自分の思いを俳句にする際の強力な助っ人を得た気持ちだった。

掲句は、私と同年齢で良く垣根越しに話しをしていた隣のご主人が亡くなった時の私の心境を詠んだものである。基本型の助けがなければ俳句にする事ができなかっただろうと今でも思っている。