〇俳句総合誌「俳壇」本阿弥書店 2023年7月号
特集 俳句と風土-埼玉県―
住めばふるさと 河瀬俊彦(爽樹)
夕涼み灯台守の一家族
雨乞の島人仰ぐ日蓮像
語尾あがる若狭言葉やあいの風
八月や興安丸の着きし波止
花は葉に塵ひとつ無きけん二句碑
大空も湖も真青や若葉風
富士塚の五合目までの草を引く
蠛蠓を連れてトトロの森の中
海と湖(要旨)
「風土」と聞けば、すぐ思い浮かべる地が二つある。中学卒業までを過ごした女木島(香川県)と工場勤務をした舞鶴(京都府)である。この二つの地に住んでいた時に俳句を詠んでいれば、どんな句ができていたであろうと想像すると晩学であることが残念な気がする。
所沢(埼玉県)は都心近くにありながら、豊かな自然に恵まれているのが魅力である。狭山茶の茶畑が多く、「トトロの森」の保全活動が盛んである。さらには、多摩湖、狭山湖もある。いずれも私の散歩圏内にあり、句材には事欠かない。瀬戸内海の風土、日本海の風土、内陸の風土、いずれも好きな土地なので、その風土が滲む句が出来ればうれしい。