於・竹寺(平成28年4月17日)
竹寺は、正式には「医王山薬寿院八王寺」と称します。奥武蔵俳句寺としても
有名で、神仏習合の姿を今に残す東日本唯一の寺です。
当日は、鶯や数多の囀りのなか、山桜、つつじを始め数多の花盛りで
正に「花の寺・花浄土」の竹寺でした。
先師のご冥福をいのり、句碑に先師をしのび、吟行と句会を楽しみ爽樹の絆を固めた一日でした。
於・竹寺(平成28年4月17日)
竹寺は、正式には「医王山薬寿院八王寺」と称します。奥武蔵俳句寺としても
有名で、神仏習合の姿を今に残す東日本唯一の寺です。
当日は、鶯や数多の囀りのなか、山桜、つつじを始め数多の花盛りで
正に「花の寺・花浄土」の竹寺でした。
先師のご冥福をいのり、句碑に先師をしのび、吟行と句会を楽しみ爽樹の絆を固めた一日でした。
アルカディア市ヶ谷 (平成28年6月25日)
1年半前から企画し準備してきた各種記念事業も、5月29日の記念祝賀会をもって終了しました。
この間の皆さまのご協力ご支援に深く感謝申し上げます。五周年事業は、将来へのステップ、将来の糧となるものであります。実施した主な事業は次の5項目からなります。
一、合同句集の刊行
応募した会員143名の作品「自選20句」は、会員の切磋琢磨の結晶であり爽樹俳句の一里塚でもあります。
二、28年1月記念増大号刊行
創刊の経緯の座談会・情景主義論考・5年間の総括、足取り、全句会の概要記事などの180頁の増大号
三、各種コンクールの開催 (俳句・論文・エッセーなど)
四、先師小澤克己七回忌法要 {竹寺}と俳句大会
五、記念式典及び祝賀会
5月29日アルカデイア市ケ谷で、午前中記念式典・句集出版お祝い会を開催し、同日午後、記念祝賀会を開催しました。祝賀会は、来賓38名・爽樹会員94名の参加で盛大に実施することが出来ました。皆さまのお蔭で五周年事業の仕上げとして心に残る祝賀会となりました。
十周年に向けて、爽樹の力を結集して「意気軒昂な十周年」を迎えられるように皆さんとともに努めたいと思います。ご支援ご協力の程宜しくお願い申し上げます。
「世界遺産・三保の松原と富士山の眺望」(平成28年9月27日~28日)
今年度の研修は爽樹会員36名が参加。秋雨が続いたなか、天気にも恵まれ「爽樹晴」の下での旅行となった。
三保の松原は、平成25年6月に世界文化遺産に登録された。松原の海岸への入口に「神社」が祀られて、その境内に「神の道」が続いている。
砂嘴からは霊峰富士山がくっきりと姿を現していた。伝説の「羽衣の松」は柵に囲まれ現在は三代目。
宿泊先焼津グランドホテルでは、四時半より一日目の句会、引き続き七時から夕食と懇親会。
翌朝、午前六時恒例の早朝吟行、朝食後ホテルを出発、島田市の大井川にかかる蓬莱橋へ。この橋は英国ギネス社認定、 世界一長い木造の橋である。橋の先の森に「長寿の鐘」があり、NHKの連続テレビ小説「とと姉ちゃん」のロケ地となった場でもある。
帰路由比桜エビ会館で二日目の句会を行い、すべての予定を終えた。
特選句 一覧
第一日目 : 席題「天」を含め四句出句
川口 襄 選 「天・地・人」 | |
波音は天女の嘆き秋の浜 | 秋山 正 |
秋の空三保の天女はお出掛け中 | 三間菜々絵 |
天女には天女の思ひ秋の空 | よしだようこ |
半田 卓郎 選 「天・地・人」 | |
淡粧の富士を仰ぎて九月尽 | 村田 菊子 |
股覗きして秋麗の富士の山 | 小林 眞彦 |
老松のくの字への字や秋日傘 | 黒岩 裕介 |
大曽根育代 選 「天・地・人」 | |
左手に富士右手に白波天高し | 花島 陽子 |
富岳呑むばかりに三保の秋怒濤 | 黒岩 裕介 |
身の内のかすかに青む秋の海 | 橋本 良子 |
小林眞彦 選 「天・地・人」 | |
駿河路の旅天恵の秋日和 | 小山 徳夫 |
色変へぬ松や天女の忘れ雲 | 大曽根育代 |
秋澄むや砂嘴の松原天に延ぶ | 齊藤 博之 |
特選句 一覧
第二日目 : 三句出句
川口 襄 選 「天・地・人」 | |
秋風となつて大川渡りけり | 小峰 光子 |
一川を統ぶる一橋律の風 | 小峰 光子 |
現世の流れの早さ秋の川 | 勝浦 敏幸 |
半田 卓郎 選 「天・地・人」 | |
秋日和良き風良き橋良き仲間 | 小峰 光子 |
薄紅葉愛ふたたびと鐘鳴らす | 小林 久子 |
仙境に遊ぶ木橋や秋高し | 大曽根育代 |
大曽根育代 選 「天・地・人」 | |
川風や江戸引き寄する葛の蔓 | 髙畑 信子 |
蓬莱橋芒吹かるる空のあり | 水野あき子 |
渡り来し橋は過去なり秋の空 | 川口 襄 |
小林眞彦 選 「天・地・人」 | |
虫の音と和すせせらぎの朝かな | 田巻 和子 |
やはらかき風の橋梁秋の声 | 齊藤 博之 |
まだ青き蜜柑を捥げば海の香も | 沼崎 邦子 |
於・所沢愛宕の杜ふれあい館 参加者44名(平成28年 11月29日)
特別賞(ところ賞) | |
白鳥来とうに切れたるパスポート | 木村 順子 |
鈴木すぐる・特選 | |
咳込めば忽ち背に小さき掌 | 渡辺 市子 |
ひたすらに陽を集めをり木守柿 | 明田川節子 |
川口襄・特選 | |
白鳥来とうに切れたるパスポート | 木村 順子 |
その話聞いたと言へずおでん酒 | 河瀬 俊彦 |
小山徳夫・特選 | |
湯豆腐の鍋も小ぶりに二人の夜 | 秋山 正 |
棒立ちの風のぬけがら枯芭蕉 | 水野あき子 |
半田卓郎・特選 | |
実むらさき珠の数ほど懸想して | 小室 誠 |
冬帽に手を触るだけの訣れかな | 木村 順子 |
橋本良子・特選 | |
さくさくと詩の生まるる霜の道 | 松本きみ枝 |
大安の湯島天神菊日和 | 伊藤 麻子 |
環 順子・特選 | |
日向ぼこいつしか母と同じこと | 若月 和代 |
その話聞いたと言へずおでん酒 | 河瀬 俊彦 |
於・所沢愛宕の杜ふれあい館 参加者42名(平成29年 8月30日)
ところ賞 | |
捕虫網に星ひつかけて帰りけり | 松本 きみ枝 |
鈴木すぐる・特選 | |
全身を玉の汗して赤児泣く | 山崎 京子 |
朝顔や近くて遠き両隣 | 小室 誠 |
川口襄・特選 | |
月見草人恋ひ初めし十五歳 | 大槻 晟 |
捕虫網に星ひつかけて帰りけり | 松本 きみ枝 |
半田卓郎・特選 | |
遠泳の遅速競はぬ赤帽子 | 秋山 正 |
地酒酌み昔馴じみと盆の月 | 伊藤 麻子 |
大曽根育代・特選 | |
捕虫網に星ひつかけて帰りけり | 松本 きみ枝 |
海底をさ迷ふに似て阿波踊 | 橋本 良子 |
小林眞彦・特選 | |
高飛び込み水面一枚破りけり | 小室 誠 |
焼杉の古都の家並や梅雨の蝶 | 黒川 國子 |
河瀬俊彦・特選 | |
捕虫網に星ひつかけて帰りけり | 松本 きみ枝 |
炎天の礼に始まる「プレイボール」 | 大森 英 |
吟行地 :東京都練馬区 石神井公園(平成29年9月29日)
石神井公園は、三宝寺池と石神井池の二つの池を中心に構成され、
四季を通じて豊かな自然に恵まれ、植物、昆虫、水辺の生き物、鳥類などが豊富です。
また、石神井城址、寺社もあり、史跡や伝説、武蔵野の面影が数多く残されており、
吟行地として句材が豊富な場所です。
特選句 一覧
川口 襄 選 「天・地・人」 | |
榎の実口に含みて鳥となる | 山田富朗 |
虚子訪ひしタブは大樹に小鳥来る | 半田卓郎 |
小さき舟浮かべ秋日を独り占め | 村田菊子 |
半田 卓郎 選 「天・地・人」 | |
菩薩めく水辺の気根菊日和 | 内藤紀子 |
水の面に姫の化身か色葉散る | 大曽根育代 |
無縁仏誰ぞ供ヘし草の花 | 松代忠博 |
大曽根育代 選 「天・地・人」 | |
虚子訪ひしタブは大樹に小鳥来る | 半田卓郎 |
ふんだんに木の香水の香鵙日和 | 橋本良子 |
一天に爽涼放つ樹の匂ひ | 小林恵子 |
小林 眞彦 選 「天・地・人」 | |
秋天へすくと水煙あざらけし | 水野あき子 |
竜淵に潜み松韻幽かなり | 小峰光子 |
水の面に姫の化身か色葉散る | 大曽根育代 |
環 順子 選 「天・地・人」 | |
竜淵に潜み松韻幽かなり | 小峰光子 |
金風わたる斎田の古代米 | 内藤紀子 |
軽口の思はぬ波紋木の実落つ | 神崎康光 |
於・所沢愛宕の杜ふれあい館 参加者41名(平成30年 6月30日)
早々に梅雨が明けた六月三十日、今年で六回目となる爽樹俳句会所沢地区の合同句会が新所沢駅近くの「愛宕の杜ふれあい会館」で開催されました。市内の七つの句会(所沢鍛錬、爽風、爽林、翔詠、爽雲、爽嶺、野老)から四十一名(うち十四名欠席投句)が参加、計一二三句が投句されました。
選者は川口襄代表、半田卓郎幹事長、橋本良子顧問、河瀬俊彦理事の四名の先生方に務めていただきました。この日、所沢地区は猛烈な暑さに見舞われ、会場の外は熱風が吹いていましたが、会場内も参加者の熱気で熱く盛り上がっていました。 そして、栄えある最高賞である「ところ賞」は選者の先生方の協議の結果、野老句会の黒川國子さんに決定しました。
ところ賞 | |
峡の湯の篠突く雨や合歓の花 | 黒川 國子 |
川口襄・特選 | |
峡の湯の篠突く雨や合歓の花 | 黒川 國子 |
みどり児の涙のあとやねむの花 | 横山 賢乃 |
半田卓郎・特選 | |
西日射す部屋は未だに夫の影 | 赤野 絹江 |
異界から夢を届くる黒揚羽 | 寺門 正樹 |
橋本良子・特選 | |
紫陽花の潮騒色になだれをり | 内藤 紀子 |
筍も声あげさうな朝の市 | 明田川節子 |
河瀨俊彦・特選 | |
せせらぎの素足の子等の鬼ごつこ | 秋山 正 |
打水の誘ふ小さき美術館 | 中島 久江 |
高得点賞 | |
甚平の背中に頑固滲ませて | 山崎 京子 |
まな板は母のパレット朝の虹 | 渡辺 市子 |
ドッキリ賞 | |
袈裟を着てキャッチボールや若葉風 | 久保田幸子 |
ユーモア賞 | |
夏バテの二十の猫にてんてこまひ | 大槻 晟 |
ほのぼの賞 | |
筆談の一語一語や夏落葉 | 三橋 瑞恵 |
「再建の五浦温泉六角堂と国宝白水阿弥陀堂」(平成30年9月27日~28日)
今年度の研修は爽樹会員27名が参加。初日は曇天・小雨でしたが、翌日は天気にも恵まれ「爽樹晴」の下での旅行となりました。
五浦温泉六角堂は近代日本美術の発展に大きな功績を残した岡倉天心の住居敷地(茨城大学五浦美術文化研究所)の一角、太平洋に張り出した岩盤の上に、天心自身の設計により建てられ「観瀾亭」と名づけられた赤い六角形のお堂です。 東日本大震災の津波により流失しましたが、再建されて平成24年4月28日より一般公開されております。
白水阿弥陀堂は永暦元年(西暦1160年)徳姫という女性が発願、建立されたと伝わる御堂です。阿弥陀堂は建造物として国宝に指定され、堂内には、阿弥陀三尊(国重文)、持国・多聞天王(国重文)が安置されております。現存する平安時代の阿弥陀堂が少ない中、浄土庭園も兼ね備えた、他に類を見ない御堂となっています。
宿泊先五浦観光ホテルでは、四時半より一日目の句会、引き続き七時から夕食と懇親会。
翌朝、午前六時恒例の早朝吟行、朝食後ホテルを出発、いわき市の白水阿弥陀堂へ。
帰路水戸ドライブインで二日目の句会を行い、すべての予定を終えました。
特選句 一覧
第一日目 : 兼題「心」を含め三句出句
川口 襄 選 「天・地・人」 | |
心奥に秘めし片恋秋黴雨 | 松吉 惠子 |
億年の地層を洗ふ秋怒濤 | 一瀬 正子 |
月の澄む海天心の志 | 小山 徳夫 |
半田 卓郎 選 「天・地・人」 | |
秋霖の窓辺昭和の歌流る | 小峰 光子 |
心奥に秘めし片恋秋黴雨 | 松吉 惠子 |
雲重き秋の五浦の怒濤かな | 小峰 光子 |
橋本 良子 選 「天・地・人」 | |
秋濤や岩場に確と六角堂 | 古川みさを |
億年の地層を洗ふ秋怒濤 | 一瀬 正子 |
詩心の結集の句座秋の宿 | 阿部 昭子 |
阿部 昭子 選 「天・地・人」 | |
晩景の六角堂や秋気澄む | 永田 歌子 |
億年の地層を洗ふ秋怒濤 | 一瀬 正子 |
童心の詩人の生家秋しぐれ | 橋本 良子 |
第二日目 : 嘱目二句出句
川口 襄 選 「天・地・人」 | |
僧と子の三途の話蓮は実に | 半田 卓郎 |
徳姫の夫への哀慕萩の花 | 永田 歌子 |
浄土へと続く反橋萩の花 | 坂本ひさ子 |
半田 卓郎 選 「天・地・人」 | |
鉱山の役目終へたる山装ふ | 本庄 準也 |
現生の浄土の庭に萩散華 | 秋山 正 |
露に裾しとど濡らして先導す | 小山 徳夫 |
橋本 良子 選 「天・地・人」 | |
僧と子の三途の話蓮は実に | 半田 卓郎 |
晴天も雨天も俳句花芙蓉 | よしだようこ |
こぼれ萩浄土へ渡る太鼓橋 | 川口 襄 |
阿部 昭子 選 「天・地・人」 | |
晴天も雨天も俳句花芙蓉 | よしだようこ |
秋爽の空駆け上る白き波 | 赤池英津子 |
さざ波の池秋爽の阿弥陀堂 | 小峰 光子 |
「トトロの生まれたところ」30年10月23日(火)
淵の森~秋津公園~秋津
10月の句会は西武線秋津駅近くの「淵の森」、「秋津公園」と「秋津神社」を吟行しました。
淵の森は柳瀬川に沿った小さな森ですが、この近くにお住まいの宮﨑駿さんは、この森を散策することによってトトロの構想を練られたとのこと。紅葉には少し早い時季でしたが、末枯れの木々と柳瀬川のせせらぎがしみじみと深まりゆく秋を感じさせてくれました。
特選句
半田 卓郎 選 | |
こほおぎや森の静寂を深めをり | 寺門 正樹 |
せせらぎの煌めく森に小鳥来る | 秋山 正 |
古池は神の憩ひ場秋の園 | 小室 誠 |
講師作品 半田 卓郎
ちちろ鳴く永遠の命の力石 |
毒茸めきて切株人寄せず |
末枯の森に水音弾みけり |
撮影 半田卓郎 爽樹俳句会特別顧問(2019年4月)