第5回所沢合同句会

於・所沢愛宕の杜ふれあい館  参加者4名(平成29年 8月30日

   ところ賞
捕虫網に星ひつかけて帰りけり松本 きみ枝
   鈴木すぐる・特選
全身を玉の汗して赤児泣く山崎 京子
朝顔や近くて遠き両隣小室 誠
   川口襄・特選
月見草人恋ひ初めし十五歳大槻 晟
捕虫網に星ひつかけて帰りけり松本 きみ枝
   半田卓郎・特選
遠泳の遅速競はぬ赤帽子秋山 正
地酒酌み昔馴じみと盆の月伊藤 麻子
   大曽根育代・特選
捕虫網に星ひつかけて帰りけり松本 きみ枝
海底をさ迷ふに似て阿波踊橋本 良子
   小林眞彦・特選
高飛び込み水面一枚破りけり小室 誠
焼杉の古都の家並や梅雨の蝶黒川 國子
   河瀬俊彦・特選
捕虫網に星ひつかけて帰りけり松本 きみ枝
炎天の礼に始まる「プレイボール」大森 英

第1回爽樹吟行俳句大会

吟行地 :東京都練馬区 石神井公園(平成29年9月29日

石神井公園は、三宝寺池と石神井池の二つの池を中心に構成され、
四季を通じて豊かな自然に恵まれ、植物、昆虫、水辺の生き物、鳥類などが豊富です。
また、石神井城址、寺社もあり、史跡や伝説、武蔵野の面影が数多く残されており、
吟行地として句材が豊富な場所です。

特選句 一覧

   川口 襄  選 「天・地・人」
榎の実口に含みて鳥となる山田富朗
虚子訪ひしタブは大樹に小鳥来る半田卓郎
小さき舟浮かべ秋日を独り占め村田菊子
   半田 卓郎 選 「天・地・人」
菩薩めく水辺の気根菊日和内藤紀子
水の面に姫の化身か色葉散る大曽根育代
無縁仏誰ぞ供ヘし草の花松代忠博
   大曽根育代 選 「天・地・人」
虚子訪ひしタブは大樹に小鳥来る半田卓郎
ふんだんに木の香水の香鵙日和橋本良子
一天に爽涼放つ樹の匂ひ小林恵子
   小林 眞彦 選 「天・地・人」
秋天へすくと水煙あざらけし水野あき子
竜淵に潜み松韻幽かなり小峰光子
水の面に姫の化身か色葉散る大曽根育代
   環 順子  選 「天・地・人」
竜淵に潜み松韻幽かなり小峰光子
金風わたる斎田の古代米内藤紀子
軽口の思はぬ波紋木の実落つ神崎康光
石神井池

三宝寺池

飯桐(ヤナギ科)

第6回所沢地区合同句会

於・所沢愛宕の杜ふれあい館  参加者41名(平成30年 6月30日

  早々に梅雨が明けた六月三十日、今年で六回目となる爽樹俳句会所沢地区の合同句会が新所沢駅近くの「愛宕の杜ふれあい会館」で開催されました。市内の七つの句会(所沢鍛錬、爽風、爽林、翔詠、爽雲、爽嶺、野老)から四十一名(うち十四名欠席投句)が参加、計一二三句が投句されました。
 選者は川口襄代表、半田卓郎幹事長、橋本良子顧問、河瀬俊彦理事の四名の先生方に務めていただきました。この日、所沢地区は猛烈な暑さに見舞われ、会場の外は熱風が吹いていましたが、会場内も参加者の熱気で熱く盛り上がっていました。  そして、栄えある最高賞である「ところ賞」は選者の先生方の協議の結果、野老句会の黒川國子さんに決定しました。

   ところ賞
峡の湯の篠突く雨や合歓の花黒川 國子
   川口襄・特選
峡の湯の篠突く雨や合歓の花黒川 國子
みどり児の涙のあとやねむの花横山 賢乃
   半田卓郎・特選
西日射す部屋は未だに夫の影赤野 絹江
異界から夢を届くる黒揚羽寺門 正樹
   橋本良子・特選
紫陽花の潮騒色になだれをり内藤 紀子
筍も声あげさうな朝の市明田川節子
   河瀨俊彦・特選
せせらぎの素足の子等の鬼ごつこ秋山  正
打水の誘ふ小さき美術館中島 久江
   高得点賞
甚平の背中に頑固滲ませて山崎 京子
まな板は母のパレット朝の虹渡辺 市子
   ドッキリ賞
袈裟を着てキャッチボールや若葉風久保田幸子
   ユーモア賞
夏バテの二十の猫にてんてこまひ大槻  晟
   ほのぼの賞
筆談の一語一語や夏落葉三橋 瑞恵

平成30年度爽樹研修旅行

再建の五浦温泉六角堂と国宝白水阿弥陀堂(平成30年9月27日~28日

  今年度の研修は爽樹会員27名が参加。初日は曇天・小雨でしたが、翌日は天気にも恵まれ「爽樹晴」の下での旅行となりました。
  五浦温泉六角堂は近代日本美術の発展に大きな功績を残した岡倉天心の住居敷地(茨城大学五浦美術文化研究所)の一角、太平洋に張り出した岩盤の上に、天心自身の設計により建てられ「観瀾亭」と名づけられた赤い六角形のお堂です。 東日本大震災の津波により流失しましたが、再建されて平成24年4月28日より一般公開されております。 
  白水阿弥陀堂は永暦元年(西暦1160年)徳姫という女性が発願、建立されたと伝わる御堂です。阿弥陀堂は建造物として国宝に指定され、堂内には、阿弥陀三尊(国重文)、持国・多聞天王(国重文)が安置されております。現存する平安時代の阿弥陀堂が少ない中、浄土庭園も兼ね備えた、他に類を見ない御堂となっています。
 宿泊先五浦観光ホテルでは、四時半より一日目の句会、引き続き七時から夕食と懇親会。
翌朝、午前六時恒例の早朝吟行、朝食後ホテルを出発、いわき市の白水阿弥陀堂へ。
  帰路水戸ドライブインで二日目の句会を行い、すべての予定を終えました。

特選句 一覧
 第一日目 : 兼題「心」を含め三句出句

   川口 襄 選 「天・地・人」
心奥に秘めし片恋秋黴雨松吉 惠子
億年の地層を洗ふ秋怒濤一瀬 正子
月の澄む海天心の志小山 徳夫
   半田 卓郎 選 「天・地・人」
秋霖の窓辺昭和の歌流る小峰 光子
心奥に秘めし片恋秋黴雨松吉 惠子
雲重き秋の五浦の怒濤かな小峰 光子
   橋本 良子 選 「天・地・人」
秋濤や岩場に確と六角堂古川みさを
億年の地層を洗ふ秋怒濤一瀬 正子
詩心の結集の句座秋の宿阿部 昭子
   阿部 昭子 選 「天・地・人」
晩景の六角堂や秋気澄む永田 歌子
億年の地層を洗ふ秋怒濤一瀬 正子
童心の詩人の生家秋しぐれ橋本 良子

 第二日目 : 嘱目二句出句

   川口 襄 選 「天・地・人」
僧と子の三途の話蓮は実に半田 卓郎
徳姫の夫への哀慕萩の花永田 歌子
浄土へと続く反橋萩の花坂本ひさ子
   半田 卓郎 選 「天・地・人」
鉱山の役目終へたる山装ふ本庄 準也
現生の浄土の庭に萩散華秋山  正
露に裾しとど濡らして先導す小山 徳夫
   橋本 良子 選 「天・地・人」
僧と子の三途の話蓮は実に半田 卓郎
晴天も雨天も俳句花芙蓉よしだようこ
こぼれ萩浄土へ渡る太鼓橋川口  襄
   阿部 昭子 選 「天・地・人」
晴天も雨天も俳句花芙蓉よしだようこ
秋爽の空駆け上る白き波赤池英津子
さざ波の池秋爽の阿弥陀堂小峰 光子

翔詠句会吟行

「トトロの生まれたところ」30年10月23日(火)
淵の森~秋津公園~秋津

10月の句会は西武線秋津駅近くの「淵の森」、「秋津公園」と「秋津神社」を吟行しました。
淵の森は柳瀬川に沿った小さな森ですが、この近くにお住まいの宮﨑駿さんは、この森を散策することによってトトロの構想を練られたとのこと。紅葉には少し早い時季でしたが、末枯れの木々と柳瀬川のせせらぎがしみじみと深まりゆく秋を感じさせてくれました。

特選句

半田 卓郎 選
こほおぎや森の静寂を深めをり寺門 正樹
せせらぎの煌めく森に小鳥来る秋山 正
古池は神の憩ひ場秋の園小室 誠

講師作品  半田 卓郎

ちちろ鳴く永遠の命の力石
毒茸めきて切株人寄せず
末枯の森に水音弾みけり

信州 桜4景

撮影 半田卓郎 爽樹俳句会特別顧問(2019年4月)

伊那市 春日城址 枝垂れ桜

高遠城址 ひがん桜 1500本

韮崎市 わに塚 樹齢330年

北杜市 実相寺 神代桜 樹齢1800年

行田市 古代蓮の里

撮影 半田卓郎 爽樹俳句会特別顧問(2019年7月5日)

1300年~1400年前の蓮。工事現場から偶然出土した種子が発芽・開花したもの。長い眠りから覚めた、 神秘的な美しさと潔さを持った行田蓮。

令和元年度爽樹研修旅行

「東国三社と犬吠埼灯台・黒潮温泉」(令和元年 月26日~27日)

 今年度の研修バス旅行は爽樹会員22名が参加。2日間とも晴天に恵まれ、吟行・句会・懇親会と楽しく充実した旅行となりました。
 1日目は東国三社(香取神宮、鹿島神宮、息栖神社)を巡り吟行、犬吠埼灯台を目の前にしたホテルで句会、懇親会、宿泊。
 2日目は水平線から昇る日本一早い日の出(5時28分)を鑑賞した後、「地球がまるく見える丘」からの360度の絶景を堪能。宿泊したホテルに戻り、昼食と句会を行った後、帰路につきました。

 埼玉県に入る頃、渋滞に巻き込まれましたが、車窓からの見事な夕日、入日に時間を忘れ見入りました。 この日の日没は5時26分で、同じ日に見事な日の出と日の入りを見ることができた貴重な体験となりました。

特選句 一覧
 第一日目 : 

   川口 襄 選
絵馬の馬駈くるよ駈くる秋高し黒岩 裕介
巫女の裾汚すきざはし秋暑し髙畑 信子
   河瀬 俊彦 選
いわし雲海あをあをと暮れ行けり永田 歌子
鹿鳴くや走り根さへも神さびて小山 徳夫
漆黒の香取の社殿豊の秋斎藤 博之
   一瀬 正子 選
鹿鳴くや走り根さへも神さびて小山 徳夫
鹿遊ぶ社に祭る軍神秋山 正
爽やかや杜にしみ入る笙の笛小林 眞彦

 第二日目 : 

   川口 襄 選
礁打つ波の咆哮鷹渡る黛 道子
どこまでが海どこまでが秋の空よしだようこ
恋かしらバイオレットの星月夜關口 邦子
   河瀬 俊彦 選
どこまでが海どこまでが秋の空よしだようこ
秋更けて星空に浮く地球かな川口 襄
秋爽の丘円盤の青き海小林 眞彦
   一瀬 正子 選
露草やこれより先は怒濤道本庄 準也
貴婦人の如き灯台天高し斎藤 博之
秋冷や灯台染めて日の出づる青山 祥子

犬吠埼灯台

東国三社

香取神宮

鹿島神宮

息栖神社

第7回爽樹所沢合同句会

於・所沢愛宕の杜ふれあい館  参加者43名(令和元年 10月30日)

秋爽の好日「第七回所沢合同句会」が、新所沢の愛宕ふれあい館にて開催されました。
八句会の参加者は四十三名。四名の欠席者を含め、百四十一句が投句されました。

 選者に鈴木すぐる先生(雨蛙主宰)をお招きし、河瀬俊彦爽樹幹事長、半田卓郎爽樹特別顧問、橋本良子爽樹顧問の四名の先生方。選者選は特選二句、秀逸八句を選んでいただきました。

鈴木すぐる・特選
墓仕舞ひ父母に詫びつつ墓洗ふ 小室 誠
言の葉の日ごと増す吾子竹の春 黒川 國子
 
   鈴木すぐる・秀逸
星月夜山の麓の一軒家寺門 正樹
稲みのり田んぼアートの現れて羽田野和江
秋燈下手に馴染みたる電子辞書 山崎 京子
野仏に紅の影曼珠沙華港  寿子
添水鳴る途絶へし詩の甦る青柳  勝
燎原のごとく広がる曼珠沙華 渡辺 市子
角乗りの蹴上げて白き秋の水 木村 順子 
     
   河瀬俊彦・特選
狛犬の影につまづく厄日かな 小室  誠
予後の歩に付きて近場の紅葉狩    木村 順子
 
   河瀨俊彦・秀逸
話し尽き無音の中の鉦叩      酒井 節子 
星月夜山の麓の一軒家          寺門 正樹
銀漢や根の国に居る父母の影     寺門 正樹
寡黙なる考の野良着の案山子かな  福地 敏子
愛犬と軒借る古都の秋時雨     鈴木 京
秋霖や黒き水輪の貯木場      木村 順子
小鳥来て夫と二人の朝餉かな     酒井 節子 
したたむる絵手紙だれに秋の夜    富宇賀恭子 
 
   半田卓郎・特選
恍惚の姉の指す庭小鳥来る 小室  誠
利尻まで徒歩で行けさう月の道      田中 久子
 
   半田卓郎・秀逸
話し尽き無音の中の鉦叩      酒井 節子
狛犬の影につまづく厄日かな    小室  誠
酔ふよりも蘊蓄ばかり新酒かな    小林 健二
花嫁にふと立ち止まる秋日かな   有田 俊一
句書積みて吐息のもるる長き夜   渡辺 市子
ルージュひく鏡の奥の秋思かな   山崎 京子
ひもじさを知る者同士新甘藷     新井 秀子 
飛石の歩幅に余る敬老日         岩瀬フジ子   
 
   橋本良子・特選
月の座の男外して宵の口        小林 久子
新蕎麦を待つ間娘に問ふくらし振り     新井 秀子
 
   橋本良子・秀逸
転がしてまた転がして新酒かな         小林 健二  
しくじりをゆるし合ふ仲青レモン     富宇賀恭子
秋燈下手に馴染みたる電子辞書        山崎 京子
放牧の牛の焼印秋夕焼          羽田野和江
添水鳴る途絶えし詩の甦る          青柳  勝 
句書積みて吐息のもるる長き夜        渡辺 市子
言の葉の日ごと増す吾子竹の春       黒川 國子 
小豆煮るじつくり時を重ねつつ       港  寿子