ごあいさつ 川口 襄(「爽樹」代表)
お蔭様で小誌「爽樹」が平成二十八年一月で創刊五周年を迎えさせて戴き、これも偏に日頃からご支援をいただいている俳壇の諸先生及び諸先輩ならびに「爽樹」会員皆々様のご厚情の賜物と深く感謝申し上げます。
さて平成二十三年一月、「爽樹」を創刊の折、①小澤主宰より受け継いだ「情景主義」という俳句の詩精神を継承しこれを極める。②主宰は置かず任期のある代表制のもと、合議制による会の運営を行うことをお約束し、新しい俳句結社の在り方を模索してまいりました。
その足取りは甚だ遅々たるものではございますが、こうして皆様と共に五周年を迎えられたことは感無量です。五年の間に多くの学びがあり、多くの出会いがあり、豊かな心の交流を行うことが出来たことを喜びたいと思います。
これからも皆様方の更なるご指導・ご厚誼をいただき、十周年へ向け確かな歩みを進めてまいります。よろしくお願い申し上げます。
新しい結社の在り方を求めて 小山 徳夫 (名誉顧問)
“「遠嶺」は一誌一代。名前を変えて、せっかく集まっている人が何百人もいるんだから…”の言葉を残して小澤克己主宰は急逝されてしまいました。
その言葉を受けて、遠嶺時代の主要同人が何回もの役員会を開いて出した結論は、「主宰を置かない任期のある代表制と集団指導体制での同人誌的な運営」であり、小澤主宰の第二句集名をいただき「爽樹」は発足しました。
その運営には不安もありましたが、むしろその様な運営は「これからの俳句会(結社)のあるべき姿」と前向きに考え、毎月開く役員会、毎月数回の編集会議、年一回の代議員会(句会幹事会)などによる組織的な運営の中で、「あるべき姿」を求めて、いろいろと新しい方策を試みているうちに、いつの間にか五年の月日が経ちました。
「爽樹」は「〇〇主宰の結社」ではなく、「自分たちの結社」であり、代表の交代により何時までも継続し、発展していくことのできる結社であります。
五周年を迎えるに当たっての「記念事業基金」も目標額を上回り、「合同句集」への参加者も予定数を上回っていることは、「爽樹」は「自分たちの結社」という意識が浸透している証であると嬉しく思っております。
十 哲
汚れなき空一塊の帰燕あり
青鷹顕れて山河を引き締むる
辿り来て嶺まだ遠し冬の虹
湖は晏如の塒白鳥来
街灯に人のぬくもり夜鷹蕎麦
鶏旦の曙光まぶしき爽樹かな
磯波をあかねに染めて大初日
初茜大漁節の戻り来る
ふくろふの言ひ訳けを聴く夜の帳
春の野往かむ十哲に支へられ
爽 樹 立 つ
初東風や確と根を張り爽樹立つ
旭光の長汀曲浦初松籟
佳き返事の予感ポストに積もる雪
大氷柱割つて木霊を目覚めさす
蒼穹の一箇所破砕して冬日
雪原の駅夕照の浅間山
オリオンの盾の落ちゐる山の湖
潮騒に覚め水仙に逢ひにゆく
「早春賦」口ずさみつつ梅探る
それぞれに妻得て春を待つ雄鴨
「爽樹」創刊五周年記念事業について
昨年は多くの会員の参加によって五年の歩みともいえる五周年記念『合同句集』が出版されました。
今後の記念事業は左記を予定しております。皆様方のご参加、ご協力をお願い致します。
◆記念事業のご案内
一、小澤克己七回忌法要・俳句大会(当日句のみ) ―― -平成二十八年四月十七日(日)飯能市・竹寺
二、「爽樹」創刊五周年記念式典ならびに祝賀会 ――― 平成二十八年五月二十九日(日)アルカディア市ヶ谷
式典にて「記念コンクール」「新年俳句大会」入賞発表・句集出版表彰
祝賀会にて「『酒』を詠む俳句大会」入賞発表
三、「爽樹」創刊五周年記念研修旅行(三保の松原) ―― 平成二十八年九月二十七日(火)・二十八日(水)(予定)