令和7年新春俳句大会・講演会・句集出版祝賀会の開催

令和7年1月29日、標記大会がウェスタ川越において、96名の爽樹会員の参加の下、「知音」代表西村和子様と喜怒哀楽書房・木戸敦子様を来賓にお迎えし、盛大に開催されました。

  爽樹俳句会 勝浦敏幸代表挨拶

「知音」主宰 西村和子氏 講演 題「季語で読む源氏物語」

内容は、西村和子様の講演、第2回爽樹俳句大会の表彰、新春俳句大会の表彰、昨年句集を出版された勝浦敏幸代表と鈴木孝雄さんの祝賀会など盛りだくさんで、参加者は温かいコーヒーやお茶を飲みながら楽しい一時を過ごしました。

とりわけ、西村和子様の「季語で読む源氏物語」と題された講演は、季語がBGMのように「源氏物語」の情景を奏でているという指摘が新鮮で、大変貴重なお話しを伺うことができました。

第2回爽樹俳句大会の結果

爽樹俳句大会 (爽樹俳句会選者17名による選)

大 賞      角乗りの蹴上げて白き秋の水  木村 順子
優秀賞 大白鳥湖抱くやうに着水す  黛  道子
 同 子規庵の庭は千里の花野かな  市川 善之
佳作賞 はらからの古稀喜寿傘寿菊の宿  木村 吉子
 同 遠汽笛月より使者の来る気配   松本きみ枝
 同 在宅の看取りの決意梅二月  田辺喜見夫
 同 葉桜の風漕艇の水しぶき  本庄 準也

互選賞 (選者を除く参加者による互選)

第一位  笑はせてほろりとさせて村芝居   川口  襄
第二位  大白鳥湖抱くやうに着水す   黛   道子
第三位  湯巡りの地図になき道こぼれ萩   桜井 葉子
 同 独り居に一つの月のあるばかり   勝浦 敏幸
第五位  脱稿の窓全開の虫の秋    関口 幹雄
 同 流れより魚影の速し秋の水   武笠 光宏
 同 半衿は夢二の絵柄初句会   橋本 良子

新春俳句大会(当日句)の結果

西村和子選        
 特 選 電線に一小節の寒雀 黒岩 裕介
木戸敦子選       
 特 選 初鏡この顔好きになつてをり 田辺喜見夫
勝浦敏幸選       
 特 選 獏枕鯨が空を飛んでゐる  川口  襄
河瀬俊彦選       
 特 選 皺の手に悴む子の手包みこむ 粕谷 純子

俳句総合誌掲載

〇「俳句四季」 2025年2月号

「今月の華」 爽樹代表 勝浦敏幸

「狼よをらば輪廻を修しめよ」 

滅んだと思われるオオカミが、もし生きているのであれば、古代より続く生態系、生と死の連鎖をあるべき姿に正せと懇願している。

俳句総合誌掲載

〇「俳句界」 文學の森 2025年2月号

雑詠  西池冬扇「ひまわり」会長選

特撰 

ひらがなの大きく小さく星祭 (爽樹)小川悦子

【選評】平易な言葉で星祭(七夕まつりのことだ)の趣をよく表出している。子供が書いた短冊であろう。願い事が大きさの不揃いだが元気いっぱいのひらがなで墨書されている。私は星祭というと七夕の世界より「銀河鉄道の夜」が呼びさます宇宙を彷徨ってしまう。

俳句総合誌掲載

〇「俳句界」 文學の森 2025年1月号

雑詠  西池冬扇「ひまわり」会長選

特選

大きな葉大きな露の動きけり  小川悦子(爽樹)

【選評】大きな芋の葉であろう。七夕の風習で、願い事のための芋の葉に宿った露を集めて墨を磨り、文字を書くことがある。古い行事で特に江戸期には良く行われていたそうであるが、このごろは珍しくなったのかもしれない。芋の葉にのった露は動きがありおもしろい。

俳句総合誌掲載

〇「俳句」KADOKAWA 2024年11月号

作品12句

 「長瀞・秋の七草寺」    河瀬俊彦(爽樹)

秋草の七寺めぐれば花浄土

なでしこの寺の空ゆくロープウェー

をみなへし美男揃ひの六地蔵

千の墓つつむ万余の萩万朶

すぐそこと葛の寺まで三千歩

ラフティングの子らの歓声沢胡桃

茎太し兜太の郷の曼殊沙華

色変へぬ相生の松幾星霜

浄土へと銀河を渡る舟の欲し

いわし雲ポプラのやうな人であれ

雨戸繰る音がどこかで綾子の忌

初さんま放たば泳ぎ出しさうな


〇「俳句」KADOKAWA 2024年11月号

令和俳壇11月推薦

選者 井上康明「郭公」代表

風死せり忘れたきこと思ひ出す  小林恵子(爽樹)

【推薦選評】夏の昼、風が止んで死んだような静かな時間が過ぎる。そんな時、記憶から葬り去ってしまいたい思い出がふと蘇る。苦々しい思いを噛みしめながら、じっとり汗ばむ思いでいる。

俳句総合誌掲載

〇「俳句」KADOKAWA 2024年10月号

令和俳壇10月推薦

選者 櫂未知子「群青」代表

鈴一つ拾ひねぶたの街にをり  黒岩裕介(爽樹)

【選評】昨夜の跳人はねとが身に付けていたであろう<鈴>を、作者はひとつ見つけました。佞武多は数日間にわたり繰り広げられる行事ですから、今夜もまた、跳人たちは大いに飛び跳ねることでしょう。感傷とは違う旅情に満ちた作品です。

俳人協会第63回全国俳句大会・花と緑の春日部吟行俳句大会結果

俳人協会 第63回全国俳句大会

染谷秀雄 特選
藤本美和子 入選
青竹の柄杓の匂ふ御開帳


坂本ひさ子
今井 聖 特選
長き夜や書肆の主の二十選

田部 恭子
今井 聖 入選
雪降れりプランクトンの泳ぐごと

野木 和美
能村研三 入選
朧月時には死さへ甘やかに

村田 菊子
藤田直子 入選
甘夏をでんと母の忌修しけり

黒岩 裕介

花と緑の春日部吟行俳句大会 事前応募句の部

洲浜ゆき 特選
八月や陽よりも水のにほふ街

黒岩  裕介
田口紅子 特選
見るだけの海となりけりサングラス

小林  眞彦

俳句総合誌掲載

〇「俳句四季」 東京四季出版 2024年8月号

「四季吟詠」自由 浅井慎平 選

特選 春なれや坊ちゃん電車とことこと   荒川清司(爽樹)

【選評】このところ、こころのどこかが暗く、何か重い感覚に包まれていた。そんなところに、坊ちゃん電車が「とことこと」リズムに乗ってやって来た。いや、この句の作者の話ではない。それを読んだぼくのこころの線路に、だ。これを読んだぼくのこころは「とことこ」と踊った。何だか嬉しくなった。春はこうでなくてはいけない。作者の清司さん、ありがとう。とても気分のいいリズムを持った句でした。勿論、そのメロデイも軽やかで、温かく、オリジナリティに充ちていました。