爽樹インターネット句会
第55回 鑑賞・選評 2021年2月
爽樹俳句会 顧問 半田卓郎
新型コロナウイルス感染症蔓延は、ほぼ1年になりました。緊急事態宣言は3月7日まで1ヶ月延期になり、感染抑制は正念場にあります。ウイルスの変異など未確定な要因もあり今後の見通は予断を許しません。日常生活の感染予防につきご留意ください。通常の句会と異なり、インターネット句会は感染を危惧せずに開催できる特徴があります。最近は通常の句会を行っても、会話を避けてマスクをして更にディスタンスを保つと言うことでお互いにコミュニケーションを取りぬ難い状況が続いおります。各月のインターネット句会終了後、希望者によりグーグルミートによりリモート検討会を開催し、率直に意見交換を行うことにしておりますので多数ご参加ください。(パソコン、タブレット、スマホなどいずれも可能です) グーグルミートを利用しておりますので、未だの方は、Gメールアドレスを各自とって連絡戴けば操作は容易です。リモート検討会の参加申し込み、操作法詳細・その他不明の方は幹事まで問い合わせください。爽樹のホームページ及びインターネット句会の再構築作業を専門のソフト会社により現在作業中です、改良した形で4月から実施する予定ですのでご期待ください。
兼題 : 牡蠣、早梅、自由題
特選 3 句
牡蠣筏浦に津波の傷癒えて
夜来香 ( 0 )
2011年3月11日の東日本大震災から、丁度10年の歳月が過ぎた。2万2千余人の死と行方不明者、震度7の地震と観測史上最大の津波による国内最大級の被害は記憶に新しい。掲句は、海辺の牡蠣筏の復旧に着目して当時を偲ぶ鎮魂の一句である。
早梅の一輪憂き世の憂さ晴らす
夜来香 ( 0 )
早梅は、冬の季語で春の到来に先がけて咲く梅である。1月初旬から綻びだすので毎年1月早々に目当ての梅を見に行くことにしている、コロナ禍の世相の中、早梅の色と香りに憂さ晴らしという句意に共感する。
大仏の掌にやすらけき冬の蝶
愚者 ( 0 )
殆どの蝶は、卵や蛹で越冬するが、タテハチョウなど成虫のまま越冬するものもある。掲句は大仏の大きな手の中で寒さでじっと動かず越冬する凍蝶に着目している。取り合わせの着眼が良い。
秀逸選 7 句
牡蠣殻や太古の海を懐かしむ
山水 ( 0 )
縄文時代や弥生時代の貝塚から牡蠣が出土される。太古から人類に好まれた海産物であることが分かる。山のように積まれた牡蠣殻から太古の海と人類を想像する一句である。
焼き牡蠣をはふはふと喰ひ厳島
一歩 ( 0 )
広島の牡蠣は、天文年間(400年前)から養殖され日本最大の生産量である。広島湾の地形、特に河川が多い、干満潮の差が大きいなどの条件が良い為といわれる。掲句は、中七の措辞のあつあつの牡蠣をうまそうに食べる擬態語が効果的である。
早梅に託し御籤を結びけり
愚者 ( 0 )
おみくじは吉から凶まで、段階がわかれる。吉は気を付けよ。凶は用心せよ。と言うことである。凶は留めて木の枝に、吉は持ち帰る人が多い。処世訓のような文が記載されている。作者は、早梅の枝にみくじを結び、早梅に今年の運を託したのである。
早梅のはや鳥声に囃されぬ
泡沫 ( 0 )
まだ花が少ない時期に咲いている早梅には、メジロ、鵯などが集まりしきりに鳴き、春が近いことを思わせる。メジロは、枝にぶら下がるようにして密を吸うが、鵯は、下の枝から背伸びして蜜を吸う景である。
早梅に平癒の兆し求めけり
悠々 ( 0 )
冬枯れの中、いち早く咲いた早梅の長閑な景に、コロナ禍の現世が早く平穏な世になることを願う作者の思いが滲む一句である。
牡蛎食うて遠くの汽笛聞く夜かな
一陽 ( 0 )
海辺の宿で牡蠣を食べているのであろう。遠く汽笛が聞こえる旅情の一句である。
立山の白き峰越え寒波来る
夜来香 ( 0 )