爽樹インターネット句会
第43回 鑑賞・選評 2020年2月
爽樹俳句会 顧問 半田卓郎
兼題 : 湯ざめ、薬喰、当季雑詠
特選 3 句
からころと外湯巡りの湯ざめかな
愚者 ( 0 )
上五の「からころと」の擬音を巧みに使用しているのが効果があり、下駄履きで温泉の外湯巡りの情景が見えてくる。また、句のリズム感もよい。湯冷めという季語は、詠まれることが少ないように思えるが、佳句が提出された。
ひとり居の軒の蝋梅艶めけり
一歩 ( 0 )
「軒の臘梅艶めけリ」という措辞から、臘梅の色と香りが際立つ様子が伺える。上五の「ひとり居」の措辞により更にこの家の一人住まいの人のたたずまいまで想像させるのが良い。
完走の媼は今朝も薬喰
夜来香 ( 0 )
日頃練習を重ねて、マラソン競技を完走する実力者の女性ランナーを詠まれた。良い成績を出すのは普段の練習のほかに、薬喰で滋養を付けて居るのである。薬食いという季語も、あまり使われないようであるが、最近は高齢者は健康維持に必要と言われるようである。
秀逸選 6 句
流星群追ひて覚ゆる湯冷めかな
葫蘆 ( 0 )
流星の観察を趣味としておられる。流星の魅力はあるが,さすがに冬空の観察は寒い。
病みしとは隠れみのなり薬喰
一歩 ( 0 )
病気がちの体の滋養になるということで薬喰をしているが、言訳である、本当のところは肉食が好きなのである。
訛きき差しつ差されつ薬喰
悠々 ( 0 )
同郷の人と方言で話をしながら楽しく酒を飲んでいる。鍋物であろうお互いに好きな肉料理を食べている楽しい一時が伺える一句である。
湯の町の射的に興じ湯ざめかな
夜来香 ( 0 )
温泉街には、夜店が出ている。射的の店に足を止めたところ調子がよくついつい長いをして湯冷めをしてしまったのである。諧謔味もある。
湯冷めして無言となりし口喧嘩
写心 ( 0 )
湯上がりにちょっとしたことで口喧嘩になってしまった。気がついたら湯冷めしてお互い寒く口喧嘩どころでない。
新時代を説きつつ龍馬薬喰
写心 ( 0 )