爽樹インターネット句会
第42回 鑑賞・選評 2020年1月
爽樹俳句会 顧問 半田卓郎
新年おめでとうございます。
爽樹俳句会は、令和3年1月創刊10周年をお祝いすることになります。本年から来年にかけて各種のお祝いの事業が相次ぎます。爽樹誌令和2年1月号に広告してありますが、会員として会の各種事業へのご協力をお願い致します。今月の季語、むささび、宿木は、いかがでしたか。身辺で見かけることが少なく難儀されたかと思います。私は,以前,むささびは、飯能の能任寺吟行で、裏山で木の洞に眠っているのを見ました。最も2メートルぐらいの高さの木の洞でしたので、人に教えて貰いわかりました。宿木は、比較的に多くみかけます。小石川公園でも見たことがあります。
兼題 : 宿木、むささび、当季雑詠
特選 4 句
宿木や無頼籠れり赤城山
悠々 ( 0 )
宿木は、古木について居る事が多い。枯枝のあいだに青々と見える。掲句は,赤城山が舞台であり、物語で知られた赤城山の何かの事件を暗示する景である。例示の事柄が色々想像させる取り合わせ俳句で,着想の良い句としていただいた。原句は「無頼隠れり」であったが、切れているので三段れになるので、連体形で、つなげて「隠るる」としていただいた。作句の基本一型に、準拠するのが良い。
むささびの消えし樹海の静寂かな
葫蘆 ( 0 )
樹海でのむささびの挙動まで想像したのがよい下五の措辞が、樹海の不気味な様子を表現している。
孤となりて夜のむささび忍者めく
写心 ( 0 )
上五に,飛ぶと言わずに飛んでいる情景を示しており、更に下五に忍者めくという表現での発想が面白い。
むささびの飛んで瞬く星ひとつ
パセリ ( 0 )
むささびは、昼は木の洞に潜み、夜陰に木から木へ滑空する。 星空との取り合わせの句が他にも提出されているが,この句がリズム感がよいので、選んだ。
秀逸選 6 句
葉のすべて落ちて宿木明らかに
葫蘆 ( 0 )
宿木を写生している。よく観察いている事が分かる句としていただいた。俳句に於いて写生が重要である。強いて言えば下五に一工夫するともっと良くなる。
むささびの飛翔の影や星の空
山水 ( 0 )
むささびの飛ぶ夜空の様子が想定される,景の見える句である。
むささびは森の怪盗闇を跳ぶ
夜来香 ( 0 )
夜の怪盗の措辞がよい。発想がよいのでいただいた。
宿木を飾りて清き夜を祝ふ
写心 ( 0 )
青々とした宿木を飾りクリスマスを祝うということで、宿木の特徴がよく捉えられいる。
年暮れて小江戸の鐘も忙し気に
夜来香 ( 0 )
時の鐘は、いつも変わらない音であるが殊更忙しい歳末の作者には鐘すら忙しいく聞こえるのであろう。
銀輪の白きセーター胸を張り
山水 ( 0 )