爽樹インターネット句会
第40回  鑑賞・選評    2019年11月

爽樹俳句会 顧問 半田卓郎

漸く秋晴れの天候となりましたが、歳時記では、来週から「冬に入る」ことになります。本来台風シーズンは終えているはずですが、この時期の台風頻発は、地球温暖化による異常気象の為の海水温度上昇が原因と言われているようで、11月は15号、19号、21号と大形の台風が相次いで襲来しました。特に千葉県から東北各県に大きな被害をもたらしまし、強風による被害、豪雨による河川氾濫による被害が相次ぎました。犠牲者の方々には衷心からお悔やみを申し上げます。河川の反乱による水難の関連季語は、出水、夏出水、梅雨出水、水害、水禍、出水川などが夏の季語、秋出水、洪水などが秋の季語とされております。

兼題 :   秋惜しむ、残菊、当季雑詠

特選 4 句

結願の寺ふりかへり秋惜しむ

一歩 ( 0 )

札所巡りの結願は、達成感があり感慨深いものがある。中七の措辞に結願寺を去る時の気持ちが、よく表されており、季語と響き合う。秩父34番結願の水潜寺は、般若湯を頂きお風呂に入った記憶がある。

釜飯の一粒の栗峠茶屋

一歩 ( 0 )

名物の峠の釜めしには、色々の具が入っている。中でも目当ては一粒の栗である。峠の茶屋は、軽井沢へゆく途中の碓氷峠の名物であった。

残菊や夕陽を纏ひなほ凛と

写心 ( 0 )

残菊も、陽が当たると生き生きとして来て、きりっと引き締まってくる。残る菊の特徴を良く捉えて表現しており、共感する。

湯の街の按摩の笛や暮の秋

愚者 ( 0 )

温泉宿には、マッサージをしてくれる人がいて、中に眼の不自由な按摩さんもいた。暮秋の景に、湯の街を笛をたよりに歩く姿がある。

秀逸選 6 句

除草車の残す花野や子らの声

写心 ( 0 )

秋深く、花野に残る花も少なくなる。除草せずに残る花野で遊ぶ子供達に着目した。秋惜しむ景である。

山野辺の道の陽だまり残る菊

一歩 ( 0 )

山野辺に残菊が咲いている。陽が当たり生き生き咲く菊に着目したのは良い。

晩鐘の沈む山野の秋深し

葫蘆 ( 0 )

寺の鐘の音が山野に浸透するように響いている。中七の措辞に鐘の音が山野に浸透する様子が表現されている晩秋の佳句である。

残菊の畦そちこちに色競ふ

夜来香 ( 0 )

畦に菊が未だ咲いている。色々の菊の花が咲いていて正に競うようである。

四阿に語らふ二人秋惜しむ

深山苧環 ( 0 )

四阿で、話し合う二人連れがいる。色々想像出来るが秋惜しむと言う季語に相応しい。

山小舎の炊煙ほのか秋惜しむ

愚者 ( 0 )

遠くの山小屋から、煮炊きをしている煙が上がっている。晩秋の山間の景は、懐かしさがある。

互選句 0 句