爽樹インターネット句会
第33回 鑑賞・選評 2019年4月
爽樹俳句会 顧問 半田卓郎
桜の開花の報道更に新元号「令和」の決定など明るいニュースが相次いでおります。インターネット句会の効果もあり爽樹ホームページの検索数は以前に比べると増えてきました。ホームページ経由での爽樹の句会参加希望などの問い合わせも毎月くるようになりました。爽樹インターネット句会に関心のある方は、ホームページ経由でご自由に問い合わせください。パソコンを扱われない方でも例えば同居の家族の方がパソコン操作しでプリントアウトして貰い、インターネット句会に参加されている方も居られます。
兼題 : 春泥、桜餅、当季雑詠
特選 3 句
文箱には母の青春桜餅
愚者 ( 0 )
母の文箱に母の青春があるという措辞と季語の桜餅の取り合わせの句である。文箱の中の若かりし頃の想い出の品というと、恋文や思い出の品物など色々想像される。いずれにしてもかけがえのない青春の想い出の品から母への想いが深まる佳句である。季語の桜餅のとりあわせが適切である。
旅慣れの鞄まくらに花の昼
パセリ ( 0 )
桜の季節、昼休みの公園のベンチや芝生で鞄を枕に一休みのサラリーマンという景であろう。旅慣れの鞄という措辞から、 愛用のやや草臥れた鞄のイメージがよい。広辞苑によれば「たびな・る」は、下二段活用動詞である。
子らの来て春泥の靴ならびけり
写心 ( 0 )
春泥の特徴が、即物的に表現されている。どろんこをかまわず遊び回る子供の挙動が浮かぶ。久しぶりに来た子供達の挙動が見える用である。
秀逸選 7 句
闘牛の角に黒々春の泥
愚者 ( 0 )
闘牛の角に、着目しているのはユニークである。暴れ回る牛の角までどろんこという事は、激しい動きが想像させられる。
春泥や吾子と訪ねし古寺の道
一歩 ( 0 )
子供と訪ねた古寺への道が、春のぬかるみの道なのである。子供は、そう言う道を喜ぶものである。
恋ごころ形にすれば桜餅
パセリ ( 0 )
桜餅は、女性のイメージとして又、青春のイメージとして詠まれている例句がある。掲句のように、「恋こころを形に」とという表現はユニークである。
吟行を終へて隅田の桜餅
夜来香 ( 0 )
隅田川の辺の長命寺の桜餅は名物である。墨堤の吟行では、必ず足を伸ばし必ず立ち寄る店である。吟行風景として親しめる一句である。
春泥や石塀飾る小さき靴
悠々 ( 0 )
どろんこの道を歩き汚した小さな靴を洗い石塀に何足もほしているのであろう。子供の小さい頃の昔を思い出す景である。
家族よりひとつ余れり桜餅
葫蘆 ( 0 )
一つ余った桜餅は、どうしたのであろうか。家族が多かった昔の想い出かもしれない。色々想像される諧謔味のある句である。
淡雪を屋根に静もる尼の寺
夜来香 ( 0 )