爽樹インターネット句会
第31回  鑑賞・選評    2019年2月

爽樹俳句会 顧問 半田卓郎

爽樹俳句会は、平成23年1月創刊しましたので、今年は8年目になります。月日の経つのは本当に早いものと思います。あと2年で区切りの10年になります。今後着実に「しっかり・じっくり・ゆっくり」と会の運営を続けることを、新年会で申し上げました。最近ホームページの問い合わせ欄経由で入会申し込みなど問い合わせが来るようになりました。インターネット句会の入会者増加にも格段のご協力をお願いします。

兼題 :   寒波、薄氷、当季雑詠

特選 3 句

薄氷を踏む子避ける子見つむる子

真珠 ( 0 )

薄氷を見付けたときの子供の挙動を適確に表現しており、正にこの句のように子供は動く。子供の様子が生き生きと描かれていて、且つリズム感がある佳句である。

薄氷を踏むや消したき咎ひとつ

パセリ ( 0 )

責任をとるべき過ち、非難されても仕方が無いような事柄を咎という。こうした咎は早々に消し去りたいものである。しかし相手が拘りを持っていると中々簡単には消せないこともある。この咎を、消すことは、薄い氷を踏むように、神経を使うデリケートな事柄である。取り合わせが適切で内容に深みのある佳句である。

次の代へ伝ふる光歌会始

愚者 ( 0 )

両陛下のご参列される正月の歌会始で、お題の「光」を詠む歌がだされて、味合い深い佳い歌をが、朗朗と詠まれていたのである。ご譲位も近いが、歌は永遠に残り、正に次の世まで両陛下のお心を伝えていくのである。

秀逸選 7 句

高らかな夕べの汽笛寒波来ぬ

愚者 ( 0 )

この句は、下五の季語と上五と中七の措辞、即ち「寒波」と「高らかな夕べの汽笛」との取り合わせの句である。汽笛の音は、正に、本格的な寒波襲来を告知しているようである。

白髪の姉の寒紅つややかに

真珠 ( 0 )

寒中に女性が用いる口紅を寒紅という。 暫く会わない間に白髪に変った姉の、つややかな口紅に好感を持たれているのであろう。 白と赤の色彩の対比が鮮やかで、姉上が若々しく元気な様子が伺える一句である。

寒波来し無沙汰の友と長電話

悠々 ( 0 )

今年の冬は、寒冷な空気が南下してきて寒い日が続くことが多かった。中七下五の措辞は季語の上五と直接関係が無いが、響き合うものがある取り合わせである。恐らく寒い毎日で天気の話から始め、暫くぶりの懐かしい友人との長電話となったのである。

御手洗の薄氷掬ひ朝参り

夜来香 ( 0 )

手水に張った薄氷を先ずすくい取り、朝参りをすませる。冷え込む朝の動作を詠んで居る。

薄氷を踏みて順繰り登校す

悠々 ( 0 )

薄氷を見付けた登校に朝の光景を適切に詠まれている。

熱燗や部下の悩みの聞き上手

深山苧環 ( 0 )

この句は、季語の「熱燗」と、下五の「聞き上手」の取り合わせである。部下との酒の席であることは容易に想像される。上司と部下との良好な関係のためにはコミュニケーションを適切にとることで、酒の有無に関係なくまずは部下の話を良く聞き、聞き上手となることが第一歩である。

「幸」といふ村のスナック冬灯

パセリ ( 0 )

「幸」という店名の村のスナック、往々にして女将の名前であることが多い。馴染みのたまり場なのであろう。村にはこうした店が少ないので、店の灯りが目立つのである。

互選句 0 句