爽樹インターネット句会
第30回 鑑賞・選評 2019年1月
爽樹俳句会 顧問 半田卓郎
明けましておめでとうございます。
爽樹インターネット句会を今年もよろしくお願いします。関東は快晴で暖かく平穏なお正月でした。家族とともに大過なく過ごす新年になるよう願う次第です。春には新元号を迎える記念すべき年の初めにあたり、世の中は新しい波がひたひたと押し寄せて居る予感はありますが、次の時代がどのような世の中になるのか国内国外ともに見通しの難しい状態であります。毎年、齢をとり、一年の重みが年々増してきます。お互いに、日々新たに渾身の一句をめざし勤めることに致しましょう。
兼題 : 初夢、凍滝、当季雑詠
特選 4 句
凍滝の壺浄土へと続くらむ
真珠 ( 0 )
極寒の滝は、凍って流れ落ちる形のままに滝壺までが氷結する。真っ白の凍りついた姿がそのまま浄土へと繋がるような神々しさを人は感じるのである。
初夢や妻より若き母なりき
写心 ( 0 )
初夢は、吉夢である。若くして亡くなった母が初夢に現われたが、妻よりも若いことに作者は、驚き、戸惑いを抱いたのである。作者の心の中の母は、永遠の若き母なのである。
寒波来る悍馬(かんば)の息の太く濃く
パセリ ( 0 )
悍馬は、あばれ馬である。鼻息荒く前足をけり立ち上がる馬の姿が描写され、寒空の中、荷を 引く馬の気概が、特に下五に表現されている佳句である。
終電のプラットホーム冬満月
葫蘆 ( 0 )
残業か若しくは飲み会の帰路か、勤めを終えて終電に乗らざるをえないことは経験した人が多い筈である。終電の時間となると、電車の間隔があいておりホームで待たされることになる。最悪の場合は、終電に遅れ、歩いて帰るしかなく途方に暮れてホームに立っている場合 である。満月は秋の季語であるが、冬の満月は「冬満月」であり。冷え冷えとした季感をもつ。プラットホームで眺める寒々とした冬満月は、この句の景と響き合う。
秀逸選 6 句
星空を彷徨ふ旅は夢はじめ
葫蘆 ( 0 )
星座は、色々の物語が秘められている。星座の謂われをたどることを「彷徨ふ旅」と表現しているのも良い。
初夢に父と旅する木炭車
夜来香 ( 0 )
木炭車での旅という珍しい経験と父の思いが結びつき特徴のある取り合わせの一句となった。作者の生涯の大切な思い出の一場面を切り取っている。
凍滝に一礼し去る托鉢僧
山水 ( 0 )
極寒の凍滝と托鉢僧の取り合わせ、特に「一礼し去る」と言う中七の措辞に托鉢僧の修業の態度が想像される一句である。
一本の滝モーゼの杖のごと凍つる
パセリ ( 0 )
水量の少ない流れの細い滝なのであろう。完全に凍り付いた様子を比喩として「モーゼの杖」とした事がユニークである。
星冴ゆるサハラの砂紋うねりをり
悠々 ( 0 )
サハラ砂漠の景を詠んでおり、「砂紋がうねる」という措辞は写生がきいており大きな景が見え てくるのも良い。季語「星冴えゆる」も適切である。
黙々と庭師手早き冬至かな
深山苧環 ( 0 )