爽樹インターネット句会
第23回 鑑賞・選評 2018年6月
爽樹俳句会 顧問 半田卓郎
各地の梅雨入りの予報が出て関東も間もなくのようです。既に例年にない暑さの日が続いて季節の進み方が今年は殊更早いようです。爽樹俳句会は、先週(5月31日)代議員会を終えて新年度にはいりました。今年度から始まる新句会として当インタネット句会と爽樹句会(本部句会)が、議事として紹介されました。インターネット句会参加者を増やして、爽樹ホームページの活用につなげたいので、インターネット句会参加者増にご協力をお願いします。今月の席題「青梅」は、今正にその季節で梅が熟す前の青緑の実で、梅干にしたり、梅酒にします。青梅には、爽やか、みずみずしさ、若々しさ、などのイメージがあります。もう一つの席題「夏の月」は、暑さを避けて涼みに出たり窓をあけたりして、見上げる月です。
兼題 : 青梅、夏の月、当季雑詠
特選 4 句
青梅や子は褒められてより伸ぶる
喜楽 ( 0 )
青梅の持つみずみずしさから、子供の成長に発想を飛ばしたことがこの句の素晴らしいところである。確かに褒められてそのことを励みとして更に努力を重ねて行くものである。
浅草に遊び疲れの夏の月
喜楽 ( 0 )
夏の月の傍題に「月涼し」という季語もある。何か「ほっとする」感じがこの季語である。浅草に遊びほうけての帰路に、夏の月に持つ感慨が詠まれていて共感される。
葭切の騒々しさや我が青春
山水 ( 0 )
葭切の鳴き声は、いかにも騒々しい。作者の青春時代も楽器演奏に凝っていて他人からみれば騒々しいものであったかもしれない。しかしながら過ぎてみれば一際懐かしいのである。
太陽を呑み込みさうな花南瓜
喜楽 ( 0 )
南瓜の花は漏斗状の形をしており、蔓について並んでいる姿は、まるで太陽を呑み行そうな景に見えたのである。中七の思い切った表現を評価する。
秀逸選 8 句
青梅を竿もて落とす子の真顔
夜来香 ( 0 )
実梅を落とす子の動作特に真剣な表情に着目した。子供に対する愛情を感ずる一句である。
青梅の葉陰の一つ尻赤し
山水 ( 0 )
梅が熟すと、尻から赤くなってくる。葉陰に見付けたということ、尻赤しの措辞に諧謔味もある。
青梅や妣の手になる美酒恋し
真珠 ( 0 )
生前母は、梅酒をつくって居られたのであろう。青梅の季節になると母のことを想い出すのであろう。俳句は、過去にも未来にも思いが広がる。
若き日の恋のウクレレ夏の月
夜来香 ( 0 )
作者は、若い頃ウクレレで様々な唄を演奏していた。恋しい想いをウクレレの曲に乗せていたことを偲んでいる。
山荘の竹の葉揺るる夏の月
山水 ( 0 )
竹林に囲まれた山荘と夏の月の取り合わせはいかにも風情がある。風が吹くと竹落葉が舞う幽玄な景である。
風薫る退院の日の兄の笑み
真珠 ( 0 )
入院されていた作者の兄が、退院されるのを作者は迎えに行かれたのであろう。ともかくも退院ということで一安心の兄の笑顔に、子供の頃の兄弟の事を想いだしてをり、更に兄の健康を思いやる作者の気持の溢れる一句である。
銀の守宮夜の厨の硝子窓
葫蘆 ( 0 )
台所の後始末が終りふと見ると窓に来訪者、銀色の守宮がいた。素早い動きであるが一瞬眼があった。俳句は瞬間を切り取る事で詩となる。
ヒマラヤのあくまでブルー罌粟の花
愚者 ( 0 )