爽樹インターネット句会
第21回 鑑賞・選評 2018年4月
爽樹俳句会 顧問 半田卓郎
爽樹ネット句会は、年初から試験的に始めて居りましたが、今月から愈々正式にスタートすることになりました。爽樹のホームページ上で、投句・選句・選評など全て完結する句会です。いろいろな事情で句会に出席できない方が、ネットに繋がる環境があれば容易に参画できます。(但し爽樹の会員、準会員限定です。未入会の方は手続きをお願いします)始めたばかりで参加者がすくないので奮ってご参加いただきたくお願いします。(手続きなど詳細は、このホームページ上に記載しておりますが、質問があればお問い合わせフオームからお問い合わせください)
さて、当月の兼題は、「蛙」と「落花」(いずれも傍題を含む)で、各1句と当季雑詠1句の計3句提出です。今年は桜の開花が例年に比べて早くタイムリーな兼題となりました、また蛙は古来人間生活に近い存在で人の想いが深い存在で、それぞれ多くの佳句をよせられました。
兼題 : 落花、蛙、当季雑詠
特選 3 句
花吹雪の帳の中にパラダイス
山水 ( 0 )
花吹雪の渦中に身を置いた事がある人はこの句の示す状況が理解できるでしょう。パラダイスという表現は決して大袈裟ではない、異次元空間のような心に残る印象的な情 景です。動詞を使わない表現と中七の措辞がよい。
仕舞湯の我に友あり遠蛙
夜来香 ( 0 )
家事を全て終えてしみじみと仕舞湯につかる作者の心情が想像させられる。遠くから聞こ える蛙の鳴き声に癒やされる事は中七の措辞から伺える。リズム感のよい句である。
三十年通ふ飲屋の花見かな
葫蘆 ( 0 )
行きつけの飲屋仲間も30年もたつと家族のような関係なのかもしれない。心を許した仲間と花見の昼酒の楽しさ、懐かしさの伺える一句である。俳句は取り合わせである。この句は、30年来の飲屋仲間と花見の、取り合わせがよい。
秀逸選 6 句
海を向く遭難の碑に散る桜
夜来香 ( 0 )
桜の花の下、海辺の遭難碑がある景、遭難碑に書かれた事柄をよみ想いを新たにしているのであろう。
朽ちかくる農家の縁に花の塵
愚者 ( 0 )
既に廃屋なのであろうか農家の縁側に桜の花びらが舞い込んでいる。過疎化の現実の中の一風景のようである。
黄昏れの旅路の果や遠蛙
写心 ( 0 )
実際の旅もそろそろ終ろうとする時に遠くに蛙の鳴く声が聞こえると言う句意と、一方、黄昏の旅の果ては、作者の人生の果てであり、しみじみ来し方を振り返るという句意にも鑑賞できる。季語の遠蛙の鳴き声の情緒がきいている一句である。
池辺の黙座を通す蛙かな
喜楽 ( 0 )
無言のままじっと座っている蛙を目にした作者は、この蛙を黙座を通すと表現した。諧謔味のある一句である。
道祖神を守るがごとく牛蛙
愚者 ( 0 )
道路の悪霊を防ぐ道祖神の前にひかえる牛蛙を、この蛙も恐らく黙座なのかもしれないが、作者は守るがごとくとと詠んだ。
こつちこつちおいでおいでと雪柳
愚者 ( 0 )