爽樹インターネット句会
第20回 鑑賞・選評 2018年3月
爽樹俳句会 顧問 半田卓郎
立春を過ぎても今年は寒い日が続き梅の開花も遅れておりました。3月に入り漸く暖かくなって、各地から花便りが伝えられております。この度新発足したインターネット句会は、爽樹ホームページから参加できる句会で、ネット環境があれば参加できます。多くの会員、準会員の方の参加を希望します。ご質問は、ホームページ上の問い合わせ欄からお願いします。案内記事を爽樹誌3月号に掲載し又句会統括から各句会幹事へ案内書を配布しましたので句会にて紹介された事とおもいます。
当月の兼題は、黄水仙、耕、各1句。及び当季雑詠1句です。
兼題 : 耕、黄水仙、当季雑詠
特選 3 句
耕す手止めて句帳に記しけり
夜来香 ( 0 )
野外に出ると句種は沢山ある。まして耕作する事は目に入るもの、手に触れるもの全てが生き生きとした春の息吹きを感じさせるものである。作者の詩心はいやが上にも触発されているのであろう。下五を助動詞けりとして断定したところがよい。
春光の棚田天への階に
愚者 ( 0 )
棚田は、山の斜面に作られるものであり、水田が日の光に浮かび輝く景が見えてくる。いかにも天への階(きざはし)のようにと捉えた事に共感する。句またがりの作り方で中七胴切れの仕立てで動詞を使用しないことで印象が強く出ている。以前訪れた能登の棚田を思いだす。
春めくや如来の朱唇少し空き
楡 ( 0 )
悟りを開いた阿弥陀如来と言えども穏やかな春には朱唇が緩むのであろうかという思いであろう。現在上野国立博物館で開催の仁和寺の千手観音像の圧倒的な存在感に感動した一句のように鑑賞した。
秀逸選 6 句
絢爛と光のシャワー三月来
山寺 ( 0 )
三月いよいよ待望の春を賛美する一句である。春の海にきらきらと朝日が輝く景は誠に春そのものである。
世事離れ余念忘れて春耕す
山寺 ( 0 )
無念無想一心に耕作する作者の心のありようを詠まれている。座禅の境地に近いものがある。
忘れえぬ女先生黄水仙
愚者 ( 0 )
昔憧れた女先生のイメージは、正に黄水仙のイメージであった。ほのぼのとした春日和のような一句である。
陽だまりに聞いて聞いてと黄水仙
喜楽 ( 0 )
黄水仙の花の構造におちょぼ口のような可愛らしさをイメージされてよまれている。発想がユニークである。
春空の星となりしか荒凡夫
夜来香 ( 0 )
2月20日なくなられた俳句界の巨星金子太を悼む一句である。
野仏の微笑明るく黄水仙
夜来香 ( 0 )