爽樹インターネット句会
第19回 鑑賞・選評 2018年2月
爽樹俳句会 顧問 半田卓郎
1月の爽樹役員会で、インターネット句会の実施方法に関して正式に決まりました。概要は、このホームページ上に記載されている通りですが、爽樹誌3月号にも掲載され、併せて句会幹事宛てに入会募集案内が送付され句会において、パソコンを使用されて居る方にコピーが配布されることになりました。爽樹俳句会のホームページ上からインターネット句会に参加出来るようになり、便利になりましたので奮ってご参加ください。毎月月末に出題されますが、1月末期限で、兼題「春を待つ、試験」で、各1句他に当季雑詠1句合計3句募集いたしました。投句一覧に掲載した句に関して、2月5日までに各自互選による選句を行うと共に、選者選を下記のように行い、特撰3句、秀逸6句それぞれ選句いたしました。特に席題の「試験」は、傍題として「学年試験、進級試験、卒業試験、入学試験、受験、落第、及第」などとしてこの時期広範囲に使用出来る季語です。
兼題 : 春を待つ、試験(及び傍題)、当季雑詠
特選 3 句
大試験向かふ子の背へ手を合はせ
写心 ( 0 )
この句は、正に入学試験を見送る親の気持ちの現われた一句である。最近は通常の入学試験の他、推薦入学制度など、年末までに終る試験もあり時期も色々在るようである。これまでの努力の成果が十分発揮され合格を願う気持ちが正に「手を合わせ」という措辞に表現されている。
春を待つ子のぴかぴかのランドセル
写心 ( 0 )
四月からの小学校入学の準備として早々に入手したランドセル、親が買い求めたのか、祖父母からのお祝いの品なのかもしれない。床の間に飾ってあるのか、「ぴかぴか」という措辞がランドセルに、託す希望が感じられて良い。
小枝にも春待つ息吹ふつふつと
愚者 ( 0 )
春がちかずくと、日ごとに木の芽生えが進む。「芽生え」「木の芽」も季語であるが、この句は「春を待つ息吹き」という表現と、「ふつふつ」という擬態語を巧みに使っていて、春を迎える喜びが表現されているのがよい。
秀逸選 6 句
子の部屋の消えぬともしび大試験
夜来香 ( 0 )
受験勉強の最後の追い込みの時期になった。中七の」「消えぬともしび」に夜更けまで一生懸命勉強する子を思う親の気持ちの溢れる句である。
御守りにふと触れてゐる大試験
愚者 ( 0 )
入学試験にのぞむ気持ちが、「お守りにふと触れる」という中七の表現にあらわされている。昔のおもいでであろうか、共感のえられる句である。
汽車を停め飛行機停めて春の雪
夜来香 ( 0 )
1月二十二日の大雪は、正にこのような混乱をもたらした。特に雪に弱い関東地区は相当混乱したが、この句はタイムリーに詠まれている。
背と腹に懐炉抱きて出陣す
悠々 ( 0 )
今年の冬は殊更寒く、とくにインフルエンザがはやっている。暖かくして気合いをいれてでかける様子が伺える一句である。
山寺の和尚も猫も春を待つ
夜来香 ( 0 )
一茶の句の雰囲気をもつ句である。雪深い山寺でひたすら春が来るのを待っている景をきりとっている。このように、俳句は発想を縦横に自由に飛躍させるのが良い。
武蔵野の湖のきららや春を待つ
山寺 ( 0 )