爽樹インターネット句会
第18回 鑑賞・選評 2018年1月
爽樹俳句会 顧問 半田卓郎
ASAHIネット利用の電翔句会から、爽樹インターネット句会に変更して当月から立ち上げることにいたしました。爽樹ホームページ委員会でこのシステムを新しく構築しましたので、3月までは試行期間とし4月以降広く募集して本格的に立ち上げることにいたします。これまではASAHIネットに入会しないと加入できませんでしたが、今後は爽樹俳句会のホームページから、句会に参加できますので会員の皆さんは参加しやすくなると思います。即ち、投句、選句、選評、鑑賞、などずべてホームページ上で行えることになりました。遠隔地からの参加が可能であること、何らかの理由で句会に出られない場合の補完としても有効と思います。
12月末締の投句は、お題は「楪(ゆずりは)」「氷柱」で各1句、 当季雑詠で1句、計3句でした。佳句ぞろいでしたが、特選3句、秀逸選6句を選ばしていただきました。(選句は作者名が発表される前に実施しました)楪という季語に触発されて、ひと味違う一句が各人から出されて大変良かったと思います。
兼題 : 氷柱、楪(ゆづりは)、当季雑詠
特選 3 句
通勤の夜明けの車窓冬の月
葫蘆 ( 0 )
最近(1月)の日の出は、6時50分ぐらい(埼玉県)なので遠距離通勤の時刻は、夜明け前の時刻にならざるを得ない。寒さの募る通勤路を経て、暗闇の車窓に月を仰ぎ出社する心境が伺える佳句である。新聞を見たり、会議の資料をみたり、その日の業務を考えたり、人それぞれであるが充実したひとときであろう。色々考えさせられる佳句である。
夜の氷柱静寂を糧に育ちをり
山寺 ( 0 )
北国の経験では、氷柱は深夜に成長し朝になると初めて大きく成長しているのに気が付く。夜の静寂を糧に育つという措辞は、発想がユニークであり、詩心がある佳句である。
楪や若き女将の老舗宿
夜来香 ( 0 )
旅館は女将でもつと言われる。先輩の女将から引き継ぎ老舗の宿屋を甲斐甲斐しく切り盛りする若女将に焦点をあてている。楪の季語が取り合わせとして響きあう佳句である。
秀逸選 6 句
陽に光る氷柱連なる宿場町
夜来香 ( 0 )
昨年初夏爽樹研修旅行で木曽の宿場町、馬籠妻籠を訪れた。木曽山中の冬は厳しい寒さで、軒並み氷柱の連なる景に代わることであろう。風情のある宿場町の生活の厳しさを垣間見る一句である。
去年今年節酒の誓ひ色褪する
悠々 ( 0 )
節酒の誓いを書き出して壁に張り出しているのであろう。 誓いを立てて久しいので、色褪せてきた。去年今年、この誓ひ文は年の初めには今年こそ守ろうとするが、年が変わっても同じものが掲げられている。諧謔味がある一句である。俳句に諧謔味は大切である。
ゆずりはや三代揃ふ肖像画
楡 ( 0 )
田舎の家にゆくと鴨居に先祖代々の写真が飾られている。三代ぐらい前は辛うじて記憶に残っていて、何かの機会親戚が集まると話に出ることもあるのであろう。この肖像画は、代々引き継がれたこの家の歴史の証人である。楪という季語に触発されて旧家の歴史を振り返ることになる。
古民家の梁のかんじき黒光り
楡 ( 0 )
かんじきは、靴の下につけて雪の中の歩行に使う履物である。竹製、金属製などいろいろある。梁にかけてあるかんじきに着目され、雪深い里の生活を思いだしているのであろう。
離れ家は氷柱林の中に在り
写心 ( 0 )
離れ家は林に囲まれている。林には梢から氷柱が下がっておりまるで氷柱林の中、別世界のような空間である。折から冬の日が指すと氷柱がきらきら輝く景が見えてくる。美しい景を切り取って一句としている。
楪や技を継ぎたる撥捌き
愚者 ( 0 )