第55回 投句一覧
投句総数 33 句
兼題 : 牡蠣、早梅、自由題
作者
参加者互選
生牡蠣に飛びつく人と逃ぐる人
悠々
牡蠣鍋の煮立つ夕餉や老夫婦
葫蘆
無住寺へつなぐ古径に冬の梅
一歩
牡蠣殻や太古の海を懐かしむ
山水
早梅の一輪朝餉食わんとす
一陽
焼がきをひとつ立ち喰ひ安芸の島
霧島
牡蠣筏浦に津波の傷癒えて
夜来香
惜敗の苦汁をすすぐ酢牡蠣かな
愚者
生牡蠣は潮の香りも食すのよ
鈴音
木枯や俳句はすべて詠まれたり
写心
牡蠣の身をふふめば熱く弾けをり
泡沫
旅かばんおととしの空入れたまま
一陽
早梅の一輪憂き世の憂さ晴らす
夜来香
焼き牡蠣をはふはふと喰ひ厳島
一歩
ご近所の裏庭にして梅早し
霧島
早梅に託し御籤を結びけり
愚者
早梅や武蔵の里の無人駅
葫蘆
色と香に揺るる心や梅早し
山水
早梅のはや鳥声に囃されぬ
泡沫
早梅を待ちわびる身に花粉飛ぶ
鈴音
早梅に平癒の兆し求めけり
悠々
生牡蠣の海の果汁に咽びたり
写心
牡蛎食うて遠くの汽笛聞く夜かな
一陽
田畑返され武蔵野の春近し
葫蘆
大仏の掌にやすらけき冬の蝶
愚者
枯菊や小指深爪してゐたり
霧島
泡沫の消えて生まれて春隣
泡沫
福豆と腹帯送る会えぬ娘(こ)に
鈴音
風花の叫(おら)びなく消ゆ近江の海
山水
早梅の神童ただの人となり
写心
立山の白き峰越え寒波来る
夜来香
冬旱沼を横切る獣みち
悠々
八戸の田の畔の陽だまり若菜積む
一歩